新刊

自分の心と気持ちを整えた 心からの接遇 改訂新版

個人ではなく組織として対応すべき[ハラスメント]加筆・解説

〈サ-ビス・接遇〉について考える ヒント満載!

著者 箕輪  由紀子
ジャンル ビジネス
シリーズ 自己啓発(ビジネス)
出版年月日 2024/10/31
ISBN 9784341088637
判型・ページ数 4-6・204ページ
定価 本体1,400円+税
在庫 在庫あり

はじめに

 皆さんは、「接遇」という言葉から、どのようなことを思い浮かべますか?
 接客、おもてなし、ホスピタリティ、マナー・・・そのような言葉が浮かんでくると思います。そして、「接遇」が大切なのは業界を問わず仕事では必須であること、さらには、人と人が接するときにも実は大切だということです。「言われなくてもわかっています」という方が多いかもしれませんね。
 私が接遇研修をおこなうときに最初にお話するのは、「気づく→わかる→できる」 ということです。気づいているから勉強会に参加している。そこで話を聞けば、わかった(気になる)。しかし、それだけでは相手には思いや気持ちは通じないのです。行動に移せるようになって、はじめて相手に伝わります。
 では、「接遇はなぜ必要か?」について考えてみましょう。

 私は以前、病院・老人保健施設・特別養護老人ホーム・訪問看護・介護・グル-プホームなど約110の事業の運営支援をしている「戸田中央医科グループ」(TMG)本部人事部で教育研修ィンストラクタ-をしていました。
 私が入職したきっかけは、元JALの客室乗務員で、訓練部での教官経験もあったことから病院職員に接遇研修をしてほしいという、TMG本部の会長や当時の総局長の要望でした。JALを退職後に3年半ほど病院の受付をしていたことも、病院での接遇研修をするうえで、いい経験となりました。

 ここで、航空会社での「接遇」について考えてみます。
 航空会社の客室乗務員というと、サービス業だし、そもそも接客、おもてなしが仕事でしょとお考えになるでしょうが、実は客室乗務員の第一義的な任務は、救命・保安要員つまり「乗客の安全を守る」ことです。それでも到着地まで快適な空の旅をお楽しみいただくためには、当然「接遇」が必要であり、またお客さまにはさまざまな方がいらっしゃいますので、考えている型どおり、マニュアルどおりとはいかないこともあります。

 その点に対処するためには、「接遇」の基本的なことを理解し、相手の欲することを想像し、気持ちを汲み取ることが大切です。そして、「またJALに乗りたい」「サービスが良かったから誰かに勧めたい」と思っていただけるように、客室乗務員はお客さまに接しています。

 まず大事にしているのは、「第一印象の大切さ」です。人の第一印象が決まるまでに要する時間は諸説ありますが、実際は一瞬ではないでしょうか。パッと見た瞬間に、笑顔を浮かべた優しい表情、整った髪、清潔感のあるお化粧、シワのない制服、磨かれた靴、背筋を伸ばし手と足がそろっている立ち姿勢など、表情や身だしなみ、立ち居振る舞いで第一印象が決まります。
 第一印象を変えるには、よほどのことがないと難しいものです。ご搭乗時の乗務員の第一印象は、その後のフライト中の良好な関係のためにもとても重要なのです。
 良い第一印象を得ていただいた次に大切なのは、話し方と言葉づかいです。ハキハキとしながらやわらかい話し方、声のトーン、スピード、そして敬語をはじめ相手に不快な感じを与えない言葉づかいができるかも大事なポイントです。
 航空業界と医療界は、全く違う業界ですが、「接遇」に関しては実は違いはありません。「心からの接遇」が求められるのは、どのような業界も同じです。

 今回の『改訂新版』の発行にあたり、昨今では喫緊の課題でもある「ハラスメント」について加筆・解説して、「病院接遇」については割愛しました。
 第四章「ハラスメント防止は必要不可欠」の冒頭でも述べましたが、心からの接遇を実践するのに、なぜハラスメントについて言及するのか?それはお客さまをはじめ、対外的に相手の方を思い、おもてなしの心を込めて応対するにはまず、「自分の心や気持ちが整っていることが大切です」ということになります。
 ハラスメント問題は、個人の問題だけでなく組織で取り組まなければならない問題だからです。

「接遇」について詳しく学びたい方、興味をお持ちの方、おもてなしの気持ちを伝えたい方、ホスピタリティを実践したい方など、すでに社会人として活躍されている方はもちろん、新社会人となられた方にも、本書がお役に立てれば幸いです。

2024年9月  箕輪 由紀子

著者略歴

箕輪由紀子
フェリス女学院大学文学部英文科を中退し日本航空に入社。
客室乗務員として16年間勤務。客室責任者、客室訓練部教官、客室乗務員採用面接官等を経験する。退職後、JALウェイズで契約制客室乗務員として6年半勤務。その間、3年半新宿の病院でVIP患者担当受付として勤務。
2006年、戸田中央医科グループ本部人事部に入職、教育研修インストラクターとして13年間勤務する。
2019年12月、戸田中央医科グループを退職。
2020年より 人とメディケア研究所 代表。 戸田中央医科グループ在職中、研修回数900回以上。 參加者約36,000名。戸田中央看護専門学校で「コミュニケーション論」の講義を担当。
著書に『人間力とホスピタリティを極める 心からの接遇』(2019年/ごま書房新社刊)がある。

第1章 社会人として大切な意識

学生と社会人の違い
(1)顧客意識〜満足してもらう
(2)協調意識~周りの人と協力する
(3)改善意識~自分自身で工夫する
(4)コスト意識~「時間は命だ」と考える
(5)目標意識〜考える習慣をもつ
(6)安全意識~コンプライアンスと自己管理

第2章 社会人としてぜひ身につけたいマナー

マナ—とは相手を思いやる想像力
個人の振る舞いが組織の信頼感につながる
(1)挨拶~お互いを認め合う
(2)表情~笑顔にはたくさんの効能がある
(3)身だしなみ〜不快感を与えない
(4)言葉づかい〜適切な敬語を使う
(5)立ち居振る舞い~内面の美しさと「形」の美しさ

第3章 心からの言葉を素直に伝える

言葉は「接遇」の基本・土台
まず挨拶から始めよう~コミュニケーションの第一歩
受け答えをタイミングよく
社会人が使う「改まった言葉」
どんな言葉を選び、どのように話すか
コミュニケーションについてのまとめ

第4章 ハラスメント防止は必要不可欠

職場におけるパワ—ハラスメントとは
パワハラと考えられる例/該当しないと考えられる例
パワ—ハラスメントが被害者に与える影響
バワハラが企業に与える影響
加害者及び企業の法的責任
なぜパワーハラスメントが起きてしまうのか
パワ—ハラスメントにならないためには
組織として取り組むこと
個人ができること~加害者にならないために〜
個人ができること~被害者にならないために〜
言葉だけでパワハラか否かの判断はできない
パワハラ防止に「有効なアンガーマネジメント」
カスタマ—ハラスメントについて
顧客等の要求の内容が妥当性を欠く場合の例
企業が具体的に取り組むべきカスタマ—ハラスメント対策

第5章  ハラスメントの“怒り”について

怒りの感情とは
怒りは二次感情
私たちを怒らせるものの正体は
怒りが生まれるメカニズム
ゆがんだ意味付けに注意する
“べき”の扱いは難しい
怒ることと怒らないことの境界線をつくる=思考のコントロール
三重丸の二つの大きな問題
怒るときの4つのNGワ—ド
指導者に必要なパワハラ防止のコツ
アサーティブコミュニケ—シヨン
アサ—ティブを支える4つの~心の姿勢~
言いたいことを確実に伝えるために
何を本当に伝えたいのかを整理する3つのポイント
これはNGな叱り方6選
パワハラにならない叱り方“あれ、グミか?”
望ましい言葉の具体的
上司に言われてやる気をなくした言葉
この“NG表現”は言い換える
何を非難されているかわからないときは、踏み込んで尋ねる

第6章 チ—厶ワ—クの重要性

これが仕事の仕方の基本
現場の接遇レベルを上げるために大切なこと
サ—ビスの向上と顧客満足
付録:電話応対のまとめ

本書の刊行に寄せて 高野 登
♦参考文献

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