新刊

日本史探訪 もう一つの歴史をつくった女たち

吉原・大奥 色香の世界と女たち 後世に名を遺した賢女・烈女・市井の女たち

著者 樋口 清之
歴史再発見 研究会
ジャンル 実用・趣味
シリーズ エッセイ・ライトエッセイ
出版年月日 2025/03/01
ISBN 9784341088736
判型・ページ数 4-6・194ページ
定価 本体1,400円+税
在庫 在庫あり

 文政(一八一八~三〇)のころになるが、吉原「松葉屋」の花魁薫(かおる)は、狂歌や戯作(げさく)で当代第一級の名士であった蜀山人(しょくさんじん)(大田南畝(なんぼ))が、 

全盛の 君あればこそ この里は 花もよし原 月もよし原 

 という頌歌をささげたほどの遊女だ。
 当時の遊女は、現在の娼婦とはすこし違う。酒席に侍“遊び女”ではあるが、教養も諸芸もなみなみならぬトップレディ-である。この薫という遊女の才知の数々は『傾城(けいせい)問答』とか『青楼(せいろう)美人鏡』などにくわしいが、その中でももっともこの遊女の面目を発揮している逸話は、お忍び登楼して来た津軽越中守寧親をもののみごとに袖にした話であろう。(本文より)
 

樋口清之(ひぐち・きよゆき)

奈良県生まれ。先祖が織田有楽斎の旧家。1932年國學院大學文学部国史学科を卒業。同大学文学部教授、名誉教授、同大学栃木短期大学学長を歴任。文学博士。静岡県の登呂遺跡発掘をはじめ、考古学の黎明期に多大な業績を残す。専門の考古学、民俗学の世界では最高権威者の一人。マスコミ出演、講演活動など幅広く活躍し、豊富な知識に裏付けられ数々の著書にはファンも多い。1997年没。

編集協力 歴史再発見研究会

歴史好き、歴史オタクのメンバー集団。編集者、ライターを中心に、出版社の要請で、する。その他の受験情報研究会や生活情報研究会などのメンバーもいる。

Ⅰ部 吉原・大奥 色香の世界と女たち

-吉原-
吉原1 遊廓から、すぐれた江戸文化が生まれた
吉原2 江戸の名士をも唸らせる、花魁の教養
吉原3 吉原は、男女の“喜・怒・哀・楽”の住み処
吉原4 オランダ砂糖の値段を左右した、遊廓の魅力
吉原5 恋に狂った遊女の情念が“切指”をさせた
吉原6 客を誘惑した遊女のラブレター
吉原7 遊女と客の仲をとりもつ「芸者」という職業
吉原8 「売比丘尼」が変えた、江戸の売春組織
吉原9 悲しく、逞しい「夜鷹」の女たち
吉原10 “蕎麦をすすりながら夜鷹見物”が、庶民の娯楽
吉原11 吉原遊廓を脅かした「女歌舞伎」
吉原12 快楽と避妊と造形美が織りなす、“セックス文化”
吉原13 入れ墨芸術を支えた女たち
吉原14 女のロマンチシズムが法律を変えた
コラム 江戸の性意識の倒錯と退廃は、社会変革の予兆だった
コラム 女は、なぜ自由に離婚できたか

-大奥-
大奥1 歴代将軍を短命にした、大奥女中たち
大奥2 時代に無言の圧力をかけ、幕府を滅ぼした奥女中
大奥3 歴史的スキャンダルをつくった大奥の女
大奥4 田沼意次が賄賂政治で失脚は大うそ
大奥5 なぜ、江戸時代、堕胎医が繁盛したのか
大奥6 経済不安が生んだ、江戸版・援助交際—“安囲い”
大奥7 「秘薬」を愛用した女たち
コラム 美しさに執着し不自由さを選んだ「光る君へ」平安の女
コラム 「白いことが美しい」という、平安朝の美的感覚とは

Ⅱ部 後世に名を遺した 賢女・烈女・市井の女たち

1 楠本いね 遊女の娘から医学者へ
2 中山みき 揺れ動く幕末に“生き神さま”と呼ばれた
3 千姫 徳川三代目の立役者・教育係だった
4 春日局 将軍家光をまつり上げ徳川政治を操った
5 幾松 桂小五郎を新撰組から救った芸者
6 和宮 将軍に妾を置かせなかった、ただ一人の女性
7 加賀千代 俳句の新境地をひらいた江戸の女流ベストセラー俳人
8 お梅 知られざる江戸の才女は深川芸妓の娘
9 ラシャメンおむら 英艦隊を撃沈した女スパイ
10 笠森おせん 歴史に名を残した絶世の美女
11 女子留学生たち 日本の国際化を促した
12 八百屋お七 十六歳の少女が江戸を代表する、“悲恋物語”の主人公
13 日本のジャンヌ・ダルク  「応永の外寇」を勝利に導いた
14 別式女 流行歌にまで勇姿をたたえられた
15 女性勤王家たち 明治維新の原動力となった
16 “婦ア天下”が天下泰平をつくる
コラム 女の男への憧れが、江戸の装飾文化をつくった

※本書は f女の知恵が歴史を変えた』(一九九八年ごま書房刊)に加筆、再編集したものです。

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