正誤表『大学受験 日本史 形式別演習ドリル』 - 2024.04.03
いまダンスをするのは誰だ?
待望のノベライズ本、『いまダンスをするのは誰だ?』発売!!
40代で若年性パーキンソン病と診断された 故松野幹孝氏の実話をもとに製作。
主人公役・樋口了一と彼を取り巻く人々の交流。
映画では描き切れなかった物語が展開、新たな感動を呼び起こします!
2023年秋に公開された映画「いまダンスをするのは誰だ?」のノベライズ本。
映画の原作・脚本および監督を務めた古新舜が映像に収めきれなかった物語や情報を世に伝えたい、との思いを胸に書き下ろしたもの。
映画では働き盛りの主人公が難病とされるパーキンソン病を発症し、苦悩し葛藤しながら、新たな自身に出会い、病気を一つの個性として乗り越えていく様が描かれている。
パーキンソン病は発症すると「身体を思うように動かしにくくなる」などの神経症状が現れる。国内には30万人ほどの患者がいると推定されている。高齢層のみならず若年層も罹患するパーキンソン病。
孤立に強いられる人が多数いるこの疾患、本作ではポジティブな側面を描くなど、当事者に対して密な取材を重ねた古新監督ならではの視点が温かい。
主演の樋口了一は「手紙〜親愛なる子供たちへ」で 第42回日本有線大賞有線音楽優秀賞および第51回日本レコード大賞優秀作品賞を受賞しているミュージシヤン。
パーキンソン病の当事者とそのご家族だけでなく、なにかに行き詰っている人、諦めようか、努力するのはもうやめようか、と思っている人に、観てほしい(読んでほしい)―(樋口了一・いま談)
小説「いまダン」あとがき
この小説を手に取っていただき、有難うございます。この作品は、私が監督を務めた映画「いまダンスをするのは誰だ?」のノベライズです。
映画をご覧になった方には、映画では描かれなかった登場人物たちの背景が詳しく理解でき、主人公を初めとする登場人物への想い入れがより深まったのではないでしょうか。映画をまだご覧になっていない方は、この小説に登場する人物たちが、どんな空間で、どんな表情や声で描写されているのか、ますます愉しみに感じていたたけたのではないでしょうか。
この作品は、私が重ねてきた取材による、いくつもの実話から構成されています。その実話の中で、作品の制作の大きなきっかけとなったのは、私の大切な友人であり、2022年春に逝去された松野幹孝さんの存在でした。
彼は東京の中野区で、私と長年にわたって地域活性の活動を共にしてきました。彼は長年証券会社に勤めていましたが、54歳の時にパーキンソン病と診断されました。バリバリと仕事をこなすエリートサラリーマンだった彼ですが、病いの発症により、パソコンのタイピングが難しくなったり、ダブルブッキングが連発したりしました。その結果、上司から一方的に仕事量を減らされ、時には、忘年会に自分だけが呼ばれず、社内での孤立に苦しんだそうです。その体験から、難病を抱えた方でも働きやすい職場環境を作りたいと考え、自身の体験を映画にしたいと志しました。
彼はパーキンソン病の当事者が集まるコミュニティで、自分と同じ病いに向き合う仲間を見つけました。職場や家庭以外のサードプレイス(第三の場所)で素の自分を取り戻し、その中で自主的に卓球教室を開催したり、テレビ番組に出演したりしました。そして、かねてからの夢であった映画製作を仲間たちに打ち明けることになったのです。
当初は、仲間たちから無謀だと言われながらも、運命的に映画監督である私が友人であったことから、彼の映画製作の挑戦が始まりました。彼は初めての映画製作に熱心に取り組んでいましたが、残念ながら撮影の直前に亡くなってしまいました。享年67歳でした。突然の出来事に関係者一同、驚きと悲しみに暮れました。
彼の葬儀場で、ふと息子さんが私のところにやってきて、こう告げました。「しかめっ面だった父は、67歳でしたが、笑顔で旅立ちました。パーキンソン病になったことで大切な仲間を見つけ、やりたかった夢に挑戦できました。父はパーキンソン病になったことに感謝していたんですよ」と。そんな松野さんの想いが、この作品の映画を産み、そして小説が産まれることに繋がったのです。
映画の主演を務めてくださった樋口了一さんも、パーキンソン病の当事者です。『水曜どうでしょう』のテーマソング『1/6の夢旅人2002』や、『手紙〜親愛なる子供たちへ〜』 といった代表作を産み出してきた彼が、本作の映画で初めて演技に挑戦してくださいました。
松野さんも樋口さんも、パ-キンソン病を抱えながらも、それを自分の一つの特徴として受け容れ、人生を歩んできました。難病というのは、当事者にとって大きな課題であり、さまざまな葛藤があるに違いありません。家族はもちろん、他者と共有するには大変な壁があると思います。しかし、その壁を一人で抱え込むには限界があります。だからこそ、一緒にそれを分かち合える仲間を見つけ、その理解を広めるための行動や思考が大切だと感じています。
人間は誰しも弱い存在であるからこそ、その弱さを受け容れ、共有できる仲間を見つけることで、自分でしかできない挑戦に踏み出す強さを得られるのだと思います。松野さん、樋口さん、そして私が取材を重ねてきたパ-キンソン病当事者の皆さんは、そのような存在だったと感じています。この作品を世に届けることができたのも、このように果敢な挑戦を続けてきた人たちの魂が産み出してくれたものだと考えています。
<中略>
この作品が、難病の理解や、当事者の就労環境の改善はもとより、人生の課題と向き合い、孤立に苦しんでいる方々が人生を切り拓くための一つのきっかけになれましたら、これ以上幸せなことはありません。
最後に、樋ロさんが日頃より伝えているメッセ-ジを紹介します。-「人生はすべてが、パッピ-エンドのための通過点」-。そう、誰もが人生の主人公であり、人生はたった一つの物語です。人生はいつからでもチャレンジでき、自分と仲間を信じれば、奇跡は必ず起こせるものだと信じています。
「Give Life to Your Story!!-物語を動かそう!-」
皆さんの人生が、この作品とともに益々輝いていきますように!
古新舜
♦著者略歴
古新舜(こにいしゅん)
映画監督・ストーリーエバンジェリスト
コスモボックス株式会社 代表取締役CEO
株式会社アロマジョイン 社外取締役CSO
北陸先端科学技術大学院大学 トランスフォーマティブ知識経営研究領域 博士後期課程
「Give Life to Your Story! ~物語を動かそう! 一」をテーマに、映画と教育の融合を通じて、大人と子どもの自己受容感を共に育んでいく共育活動を行なっている。犬猫の殺処分問題をテーマにした映画「ノー・ヴォイス」、心を無くした女子高生と分身ロボット“OriHime”との交流を描いた映画「あまのがわ」という形で、社会課題をテーマにした作品を発表し続ける。「あまのがわ」は、第31回東京国際映画祭「特別招待作品」として選定され、海外6つの映画祭でノミネート、ロサンゼルスJFFLA2019では「最優秀脚本賞」を受賞する。2021年1月には是枝監督の「万引き家族」と並んでベトナムの日本映画祭に日本代表の1作品として選定される。
最新作は“パーキンソン病Xダンス”をテーマにした「いまダンスをするのは誰だ?」 (主演:樋口了一、2023年10月公開)。本作は厚生労働省の推薦映画に選定され、ロサンゼルスJFFLA2024で前作に続いてノミネートされている。
映画監督の活動と共に、研究や教育活動をクロスオーバーで行う。文化人類学の視座を基に、関係性のあり方に注目をして、VUCA時代を生きる上で必要なマインドを幅広い世代に発信し続けている。2021年日本経済研究所、2022年日本心理学会、2023年東京労働者福祉協議会、2024年ILO国際労働機関と、産学官の領域を超えて講演で貢献している。
現在、コスモボックス株式会社代表取締役CEO、株式会社アロマジョイン社外取締役CSO、北陸先端科学技術大学院大学博士後期課程在籍。
第1章 50代直前の東京砂漠
第2章 病いの影が忍び寄る
第3章 立ちはだかるプライドの壁
第4章 写真家・森川中道に酔いしれる
第5章 俺は人間失格ではない
第6章 病気に感謝?!
第7章 私は踊ってるんだ!
第8章 部署を越えて生まれたチーム
第9章 生きるとはダンスだ!
エピローグ YouTuber・馬場功一
付録:いま談
小説「いまダン」あとがき