正誤表 『スティ-ブ・ジョブズと井深大 二人の“イノベ-ション”が世界を変えた』 - 2025.03.06
この父に学ぶ~七田式の原点~
まえがき
「親の背中を見て育つ」
とはよく言ったものです。
日々の生活の中で親の言動が子供に与える影響は、非常に大きなものです。
自然に親の言葉やしぐさを真似たり、考え方が似たり、大人になると同じような趣味を 持ったり、同じような職業に就いたり、音楽の趣味が一緒だったり、影響を受けることは 枚挙に暇がありません。
私の父七田眞は教育研究家として知られ、父が開発した「七田式教育」を実践する教室は、日本のみならず世界16の国と地域にも広がっています。
父は、若いころから「教育」や「人の能力」という分野に大変興味を持ち、人生の多くの時間をその研究に費やしました。様々な書物に目を通したり、各界の研究者を尋ねたり、時には学生の私を連れて、能力開発のセミナーに参加したりすることもありました。そうして父は仮説を立て、検証を繰り返してきました。
思い起こせば、「あれはきっと父の実験台だったな」と振り返ることもあります。
2009年に亡くなった父ですが、私自身もその後の講演会等に赴いた際には、「七田眞先生から、厚さんはどんな教育を受けたのですか?」と興味を持たれることも多々ありました。
その際にお伝えする内容は非常に評判が良く、聴衆の中には「自分の父親のことを思い出して涙が出た」と言ってくださる方もいらっしゃいました。
そういったきっかけもあり、七田眞という人物をもう一度見つめ直し、父からの教えをまとめてみようと考えました。
本書に著した教えとは、良い大学に進学するための方法ではなく、子供が自立するための、あるいは生き方を考えさせるための、父なりの工夫です。
時代背景もあり、子育ての形も徐々に変化していますが、本書ではなるべく不変的な要素を数多く紹介することに努めました。
本書を書き進めるに連れて、「あのころの父」ともう一度対話することができ、当時は気づくことのできなかった父の思いや狙いも理解できるようになりました。
本書では、私が幼いときから成人するころまでのエピソ—ドを、父と私の会話形式でまとめています。私の行動に対して、父がどんな対応をし、どんなアドバイスをしてきたかをお伝えすることで、皆様の子育ての参考になればと思っています。
みなさんもご自身の親の言葉を思い出して、〇〇年後の親子の対話を楽しんでみてください。きっとその対話が子育てのヒントになります。
七田厚
♦著者略歴
七田厚(しちだ こう)
1963年島根県生まれ。東京理科大学理学部数学科卒業。
1987年より2024年まで株式会社しちだ・教育研究所代表取締役社長を務め、主宰する「七田式」を日本をはじめ世界16の国と地域に展開する。
2024年12月永眠。
著書に、『七田式自分で考えて動く子どもに育つ言い換えことば』(ごま書房新社)、『お父さんのための子育ての教科書』(ダイヤモンド社)など多数
第1章 可能性の種を見つめる
◉わが子をよく観察すること
1 親が通訳者だから、英語ができると思わせたくない
-子供は誰でも可能性をもっている
2 ここまで走っておいで
-才能を伸ばすことより、環境を整えることが大事
3 気の済むまでさせておこう
-あらゆるものが、子供を知る研究材料になる
4 すごいのができたなぁ
-玩具は子供の興味関心を観測する大きなツ—ル
5 赤ちゃん言葉は使わない
-赤ちゃんを大切にするということは、一つの人格として扱うこと
6 これはなんという字?
-愛が伝われば、遅すぎるという教育はない
第2章 丈夫な芽を吹かせる
◉成長のきっかけとなる提案を楽しむ
1 自分で剥くのなら、全部食べていいよ
-『してもらう子』から『してあげる子』になる
2 本立てを買ってみたら?
-当たり前じやない提案で、ドラマとなる経験を得る
3 特別なレッスンをするよ
-親子で興味や関心を共有してみる
4 百人一首をやってみない?
-親のプレゼン力で、子供の関心を呼び起こす
5 家族会議をしよう
-家族会議を運営するための役割を子供たちが分担して企画力を育む
6 目標を立てよう
-スタ—卜とゴ—ルを共有して、プ□セスを考えさせて自立心を養う
7 英語のカセットテープを聞こう
-親の意図を超える子供の能力や関心に、大きな可能性が宿っている
8 新聞をとってくれる家を増やしてみないか?
-仕事の責任や金銭の価値を小さいぅちに感じること
9 障子を破ってほしい
-家族全員でいっしょに汗をかき、家庭の文化を伝えていく
10 いっしよに遊ぼう
-ゲ—厶遊びで親子がライバルになることで、普段見慣れない子供が見えてくる
11 豆まきをしよう
-伝統行事のなかで、歴史を感じ季節を感じることの意味を知る
第3章 高く広く幹を伸ばす
◉親子でいっしょに研究する
1 アウトサイダ-であれ
-人生の経験を自分のものとして、個性を育む
2 中学受験をしてみないか
-子供が変身できる新しい舞台を見せる
3 食べられる野草を調べてみたらどうだい?
-親も学べるテーマを選んで、共同研究者になろう
4 記憶について研究してみよう
-自分の頭と体のメカニズムを知り、メンテナンスや成長の方法を考えさせる
5 和算を研究してみたら
-教科や力リキュラムの隣にあるもので、子供の関心を強化してみる
6 友だちをつくるのは簡単じゃない
-子供の固定観念を解き、本質を考えさせる
第4章 自然に任せる 繁りと実り
◉わが子の将来は、自分でスタ—卜させる
1 最近、小言が多くなっているからだよ
-家族の生活時間のなかに、子供の勉強時間を取リこむ
2 大切なことは、みな子供たちから学んだ
-自分の知らない自分を子供から学び、ともに成長する
3 そうか……(嘘を詮索しない)
-あらゆる経験が『予防接種』となるよう、適切な距離から見守る
4 目を離して心を離すな
-未然に防ぐだけでは、自立できないこともある
5 自分で自分を治そぅ
-読書は一生の師匠として、友人として、生きる力を育む
6 セミナーを受けてみないか
-親の経験を後知恵として、子供の立場で将来へのアドバイスを
7 おかえり
-覚悟をもつて子供を理解し、信頼すること
8 仕事を継いでくれるつもりある?
-仕事に参加させることで、子供の問題意識を自発的に変える
9 そんなに考えてくれているのなら社長をやりなさい
-スイッチが入ったら、目標を共有してすべてを任せる
10 私はここに来ないよ
-夢は共有するのではなく、応援するもの
11 やってきたことを遺そうと思う
-本に救われた奇跡を、本を書くことで将来の誰かのために準備する