新刊

心揺るがす社説 1600字に綴られた41の物語

― オピニオンエッセイ ― 情報の「情」とは人間味のある心、思いやり、優しさ。

著者 水谷 もりひと
ジャンル 教養
シリーズ エッセイ・ライトエッセイ
出版年月日 2021/08/30
ISBN 9784341087968
判型・ページ数 4-6・224ページ
定価 本体1,273円+税

 人間の心には「知・情・意」という三つの機能がある。
 「知」は知性、「情」は情感、「意」は行動を起こす意志である。
 哲学は、これらのうち人間の知性に訴えるものだった。
 行動を起こすのは「意志」。その「意志」に大きな影響を与えるのは思想だ。(中略)

 最後に残ったのは「情」。元来、情報とは情感を刺激するものだから「情報」なのだ。情報を得て、何を知ったか
ではなく、 何を感じたかが大事なのだ。
 だから情報は、報道の「報」の上に「情け」を乗せている。 「情け」とは人間味のある心、思いやリ、優しさ。
 情報は、常に「情け」を乗せて発信したい。

(『日本一心を揺るがす新聞の社説』< はじめに > よリ抜粋)

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はじめに

 「社説」という言葉が本のタイトルに付くこのシリーズも6冊目になった。
 2010年に出した最初の本『日本一心を揺るがす新聞の社説』が売れに売れた。なぜかと言うと全国ネットのお昼のテレビ番組で紹介されたのだ。
 「新聞には社説ってありますよね。社説って普通お堅いじゃないですか。でもこの新聞の社説は泣けるんですよ」と本のソムリエの清水克衛さん。番組終了後からアマゾンのランキングが上がり始めた。その日の夜には総合8位になった。

 僕は調子に乗った。調子のいい時に調子に乗らないでいつ乗る。『日本一心を揺るがす新聞の社説』のパート2はすぐに出た。

 僕がある重要なことに気付いたのはそれからずっと後になってからだった。清水さんは東京の江戸川区で『読書のすすめ』という屋号の本屋の店主だ。
 おそらく清水さんはあのテレビ番組の本を紹介するコーナーで、毎週「店長おすすめの本」を紹介していたはずだ。当然、視聴者の多くはその本をう。どこで?
 そうネット通販で。本屋の店主がテレビで「この本はおもしろいよ」と紹介すると、視聴者は清水さんのお店に注文をするのではなく、近所の本屋に走るのでもなく、パソコンやスマホをクリックする。そんなことが起きていた。

 鶴ケ谷真一の『月光に書を読む』(平凡社/絶版)の中に、19世紀ヨーロッパの本屋の話がある。
 1人の貧しい若者が、毎日仕事の行き帰りにその本屋の前を通っている。本屋にはショーウィンドーがあり、そこをのぞくと1冊の本の巻頭のページが開かれている。
 若者はふと立ち止まってそのページを読んだ。よほど興味を引いたのか、それから毎日、本屋の前を通る度に立ち止まってそのページを読んでいた。

 ある日、本のページが1枚めくられていた。若者はそのページを読んだ。次の日もまたページが1枚めくられていた。若者は続きを読んだ。次の日もまた次の日も…。若者は何か月もかかって1冊の本を読み終えた、という話である。

 若者は貧しさゆえに本を買う余裕がなかったのだろう。
 鶴ケ谷氏は「毎日本をのぞきにくるその子を見て、店の主人がさりげない心づかいを示したのだった」と書いている。
 この少年は後に歴史に名を残す人物になるらしいが、鶴ケ谷氏は「それが誰だったのか、どうしても思い出せない」と書き添えていた。

 こんな話を書いてみたところで今は21世紀である。世の中はものすごい勢いで移り変わっている。
 「今度こんな本を出しました。ぜひ店頭に置いてください」と書店回りをしてもその対応は冷たい。売れる本しか置かないみたいな、感じ。
 その一方で、清水さんの『読書のすすめ』には売れないけど店主おすすめの良書ばかりが並ぶ。
 全国の本屋がそんな店づくりをすると、意外や意外、その街の本好きな住民が集まってくるのではないか。

 なんて「余計なお世話」と言われそうなことを考えながら、この度の新刊本のまえがきに替えさせていただきました。それでは早速、お楽しみください。

日本講演新聞 魂の編集長
水谷もりひと

【著者略歴】

水谷 もりひと(水谷 謹人)

日本講演新聞編集長
昭和34年宮崎県生まれ。学生時代に東京都内の大学生と『国際文化新聞』を創刊し、初代編集長となる。平成元年に宮崎市にUターン。宮崎中央新聞社に入社し、平成4年に経営者から譲り受け、編集長となる。28年間社説を書き続け、現在も魂の編集長として、心を揺さぶる社説を発信中。令和2年から新聞名を「みやざき中央新聞」から現在の「日本講演新聞」に改名。
著書に、『心揺るがす講演を読む1・2』『日本一心を揺るがす新聞の社説1〜4』『日本一心を揺るがす新聞の社説ベストセレクション(講演DVD付)』『この本読んで元気にならん人はおらんやろ』『いま伝えたい!子どもの心を揺るがす“すごい”人たち』『仕事に“磨き”をかける教科書』(以上ごま書房新社)など。

● 講演・執筆依頼 
日本講演新聞 https://miya-chu.jp
※「フェイスブック」「ブログ」もホームページより更新中!

はじめに

第一章

不平不満を言っている暇はない  
「いやいやいや」で通じる日本人  
小学生にはお駄賃も悪くないだろう  
国民と共にある国であらんことを  
絶望から紡ぎ出した希望の詩を  
夢には「諦めない理由」が必要だ  
自分の気持ち、大切にしてますか?  
赤紙を受け取った乙女たちがいた  
プラスイメージに変えるのは私  
幸せな人で溢れている社会を  
個人情報を皆で共有する健全さ  
自分の身を自分で守っていくために  
自分の可能性をなめてはいけない  
祇園のドラマが世界中で観られる日

第二章  

その体に魂を叩き込むすごさ  
学んだ分だけ人生は面白くなる  
心の琴線に触れる歌、ありますか  
ケーキ食べ思いを馳せる江戸時代  
見切り発車で面白くなる、強くなる  
心の時代に心を揺さぶる「粋だね」  
極楽へは地獄経由で行くらしい  
どうしても日本人の内面を知りたかった  
美しいものに触れる時間を増やそう  
人生は命の使い道を見つける旅  
感性を磨きながら歳をとっていく  
一生忘れない恩は次の世代に送る  
成熟した少年少女よ、大志を抱け!

第三章  

「見る目」を養うために学び続ける  
生きなきゃ生かせない資源がある  
生きながら生まれ変わった男  
「見られている」と意識しよう  
人生に迷ったら聞けばいいのだ  
あのとき、五色の虹がかかっていた  
大人になったら「大人の読書」を  
「バカ」の違いが分かる大人に  
つらいことが多いから笑いが生まれた  
私たちは皆歴史とつながっている  
学ぶ、師匠を見つけてまねをして  
苦味やしょっぱさもいい味だ  
畏れを抱く。人間の分際なのだから

「あとがき」にかえて  
生き抜いたのはたまたまだった

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