正誤表『大学受験 日本史 形式別演習ドリル』 - 2024.04.03
みすゞのわかれ童謡(うた)
金子みすゞの自選投稿106作品と、自死後公開9作品を一挙掲載!
著者 | 川合 宣雄 著 |
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ジャンル | 教養 |
シリーズ | エッセイ・ライトエッセイ |
出版年月日 | 2023/11/17 |
ISBN | 9784341172428 |
判型・ページ数 | 4-6・276ページ |
定価 | 本体1,800円+税 |
1 章 小さな書店から
大正12年の夏、二十歳の金子テルは小柄な体に着物姿、その上から事務服を着て、小さな本屋で落ち着かなかった。
いつもならば歩いて10分ほどの上山文英堂本店を出ると、西之端通りに面した商品館にある支店を開け、すぐに好きな本を読み始めるのだが、その日はとても読書どころではなかった。
やがて本店からリヤカーで届けられた新刊書を開いてみると、そこには自分の投稿した作品が載っていた。
お魚
海の魚はかはいさう。
お米は人につくられる、
牛は牧場で飼はれてる、
鯉もお池で麩を貰ふ。
けれども、海のおさかなは
なんにも世話にならないし
いたづら一つしないのに、
かうして私に食べられる。
ほんとに魚はかはいさう。
童話・大正12年9月号
打出の小槌
打出の小槌貰うたら
私は何を出しませう。
羊羹、カステラ、甘納豆、
姉さんとおんなじ腕時計。
まだまだそれよリまつ白な、
唄の上手な鸚鵡を出して、
赤い帽子の小人を出して、
毎日踊りを見ませうか。
いいえ、それよリおはなしの、
一寸法師がしたやうに、
背丈を出して一ぺんに
大人になれたらうれしいな。
童話・大正12年9月号
◆著者略歴
川合宣雄 (かわいのりお) 著
海外国内を問わず、自由に旅する旅好家にして小説家。
昭和22年、戦後混乱期のまっただ中に生まれた典型的な団塊人種。アルバイトでお金を貯めては海外を放浪のように旅することが多く、世界60カ国以上に足跡を印す。ガイドブックや海外トラブルに関する著作は多い。
ふとした折りに触れた金子みすゞ作品に触発されて研究、投稿作の載った当時の雑誌類を渉猟、未発表作を含む多くの童謡詩を拾い集めた結果を本作に色濃く投影させた。著書に「少林寺拳法有段者の小説家が女性向け護身術に噛みつく」(ごま書房新社)「中国超級旅游術」「モンゴル悠游旅好術」「シニア向け海外旅行リスクヘッジ術」(第三書館)などがある。
お魚/打出の小槌/芝居小屋/八百屋のお鳩/おとむらひ/空のあちら/にはとり/三四本。/瀬戸の雨/砂の王國/紋附き/美しい町/おとむらひの日/嘖水の亀/麥藁編む子の唄/手帳/大漁/おはなし/色紙/樂隊/浮き島/喧嘩のあと/パチンコと雀/げんげ畑/神輿/石ころ/つつじ/硝子/子供の時計/山いくつ/箱庭/花びらの波/電報くばり/早春(詩)/浮き雲
2章 ふるさと仙崎
ゆき/我が家の庭/さみだれ/答辞/こぶとり—おはなしのうたの一—/かぐやひめ—おはなしのうたの二—/一寸法師—おはなしのうたの三—/海のお宮—おはなしのうたの四—/雀のお宿—おはなしのうたの五—/月夜の家/障子/月日貝/まつりの頃/雀のかあさん/濱の石/雲の色
3章 誤解
田舍の繪/草山//祭のあくる日/蚊帳/田舍/きのふの山車
4章 みすゞワ-ルド
入船出船/仙崎地方の手まり唄/仔牛/土/ひろいお空/獨樂の實/土と草/薔薇の町/杉の木/振子/げんげの葉の唄/ピンポン/去年のけふ—大震記念日に—
5章 光明
露/もういいの/夜/ふうせん/水すまし/世界中の王様/繭とお墓/明るい方へ/月と泥棒/さみしい王女/雲/雛まつり/博多人形/芝草/人なし島/蜂と神さま/女の子/雨の日/ぬかるみ/金魚のお墓
6章 薆鬱な日々
不思議/麥のくろんぼ/私の丘/薔薇の根/土/雪/小さな朝顔/七夕のころ/日の光
7章 ささやかな願い
雀/丘の上で/墓たち/汽車の窓から/羽蒲團/花と鳥/トランプの女王/卒業生通信/夕顔/卷末手記
8章 ふさえの言葉
9章 わかれ童謡
象/四つ辻
10章 追憶のみすゞ
『金子みすゞの詩』/女王さま/犬とめじろ/人形の木/木/先生/なんきんだま
❖母との絆『南京玉』
♦参考文献および資料提供(順不同)