新刊

「ツーリストシップ」で、旅先から好かれる人になってみませんか

未来の旅行が驚くほど楽しくなる旅行者の心構え!

「オ-バ-ツ-リズム」を解決する切り札がツ-リストシップ!\大事なのは/調べる・挨拶・聞く・読む・守る・活かすの6つの行動。

著者 田中 千恵子
ジャンル 実用・趣味
シリーズ エッセイ・ライトエッセイ
出版年月日 2023/06/28
ISBN 9784341088385
判型・ページ数 4-6・182ページ
定価 本体1,300円+税

まえがき ――「ツーリストシップ」が、未来の旅行を変える! 

 「ツーリストシップ」という言葉を目にしたことはありますか。
 ツーリストシップは、tourist=ツーリスト(旅行者)に、ship=シップ(接尾辞)がついた言葉で、スポーツマンシップの旅行者版です。
 一言で言えば、「旅先を大切にする旅行者の心構え」のことです。
 多くの方は、初めて目にされたと思います。じつは、この言葉は、当法人「一般社団法人ツーリストシップ」が創り出し、世界で初めて提唱している言葉だからです。

 観光立国という言葉ができて久しい今日の日本では、多くの外国人観光客を見かけます。私の住む京都に至っては、「日中に街で出会う人は外国人観光客のほうが多いのでは?」と思うほどです。
 そんな観光産業の発展は、世の中に経済や文化の観点で様々な功績を残し、これからもさらなる成長が期待されています。
 しかし、急速に伸びた市場には、必ず「弊害」が伴います。
 今、「オーバーツーリズム※」の問題が、世界の注目を集めています(※観光客の極端な集中により、地域住民の日常生活や自然環境などに、多大な悪影響を及ぼしている状態のこと)。
 一つは、住環境の悪化です。現在、多くの地域で、「住む」住民と「訪れる」観光客の両立ができず、たとえば、過度な混雑、昼夜を問わずの騒音、様々なマナー違反などが起きています。
 さらに、旅先地域の自然環境・文化環境・経済環境に対する影響です。観光客がもたらすお金で経済の活性化や自然保護、文化維持に結び付くこともありますが、一方でチェーン店に行くなど外資企業の利用で旅先地域にお金が回らなかったり、マナーが守られず自然が荒らされたり、地域文化とは関係のないものが注目され、地域文化が蔑ろにされることもあります。
 国家として観光産業をこれからも推進するなら、そして私たちがこれからも旅行という趣味を楽しむには、これらの様々な弊害と向き合い、解消していく必要があります。
 その切り札が、本書でご紹介する、旅行者の心構え「ツーリストシップ」なのです。

 さらに、その切り札であるツーリストシップは、地域を守るだけでなく、きっとあなたの旅行をもっと楽しく、唯一無二の体験に変えてくれるはずです。
 だからこそ、ぜひツーリストシップを知って、あなたのいつもの旅行に生かしてほしいと思っています。

 ここで、本書の概要についてご紹介いたします。
 Chapter 1  観光ってなに? 観光の光と影
 Chapter 2 「ツーリストシップ」とはなにか
 Chapter 3  旅行客の奇行とツーリストシップ
 Chapter 4  ツーリストシップ実践録
 Chapter 5  世界に「ツーリストシップ」を広めたい!
 Chapter 1では、「観光の現状」についてお話しいたします。
 観光の歴史といった過去の話から、日本や世界が観光産業に期待している未来の話までを明らかにします。それと同時に、実際の観光課題を具体例と共にご紹介します。
 Chapter 2では、本書のタイトルでもある「ツーリストシップ」の基本理念から、具体例までの全貌をお伝えさせていただきます。
 本書のメインチャプターになっており、ツーリストシップの魅力を感じていただけると思います。
 Chapter 3では、お客様は神様という言葉の下、表に出なかった「観光客の奇行」をご紹介し、同時に、ツーリストシップの観点から解説していきます。
 Chapter 4では、「観光客の素朴な行動」を、実践録としてお伝えしていきます。ぜひ、ご自身で実践したいと思うものを見つけていただけたらと思います。
  Chapter 5では、一般社団法人ツーリストシップの経緯をお話しするとともに、活動内容と活動するにあたっての課題について、包み隠さずお伝えさせていただきます。
 本書は、この地球に住むすべての旅行好きに向けて書きました。そして、今本書を手に取ってくれたあなたの心に、ツーリストシップが届くことを切に願っています。

2023年 5月吉日
                 田中 千恵子

♦著者略歴

田中千恵子(たなかちえこ)

千葉県生まれ。京都大学在学中に長期休暇の度に東アジア・東南アジア・中央アジア・ヨーロッパなどへ足を運ぶ。京都市が観光都市として経済的利益を受けつつも、観光客の受け入れと住環境の調和に課題を持っていることを知り、「住む」と「訪れる」が両立する街を築けないかと活動を開始し、19年一般社団法人CHIE-NO-WA (のちにツーリストシップに改名)を設立。
20年観光庁より発行された、国際基準に準ずる「日本版持続可能な観光ガイドライン」にて、持続可能な観光の実現に向けた先進事例として紹介される。21年より、観光客が観光地に与える影響にこそ可能性を感じ、世界に先駆けて「ツーリストシップ(商標登録済)」の提唱を始める。
大学卒業後、社会起業家として異例のプロ契約をダイドードリンコ株式会社と締結。22年法人名を一般社団法人ツーリストシップに改名、理事に観光庁の元長官や大手旅行代理店の元役員、教授が参画し、ツーリストシップの普及に向けて再始動する。
現在、修学旅行生のワークショップや観光事業者・自治体・大学での研修や講義を受け持つ傍ら、毎月観光地でブースを出店し、自ら一般観光客へツーリストシップの周知を行う。
一般社団法人ツーリストシップ代表理事。同志社大学嘱託講師。京都観光サポーター。
HP https://touristship.j p/

まえがき――「ツーリストシップ」が、未来の旅行を変える!

Chapter1
観光ってなに? 観光の光と影

人はなぜ旅をするのか?誰もが魅了される観光の魅力
観光の歴史――人類はずっと旅がしたかった?
産業としても魅力的な観光。世界中が観光に力を入れている
観光が地域にもたらす負の影響❶
 観光客目線の「オーバーツーリズム」
観光が地域にもたらす負の影響❷
 住民目線の「オーバーツーリズム」
受け入れてくれることへの感謝
共有地の悲劇

Chapter2 
「ツーリストシップ」とはなにか

言葉は共感を生み、行動を導き、世界を作る!
ツーリストシップの基本理念
ツーリストシップを発揮するには、「素人根性」と「お名前精神」
ツーリストシップの 6つの基本アクション「HARF」
「― Look up:調べる
コラム:ツーリストシップのリサーチ力
H ― Hello!:元気な挨拶
A ― Ask:聞く
R ― Read:読む
F ― Follow rules:ルールを守る
」― Leverage:活かす
ツーリストシップの実践が、もっと旅行を楽しくする!
コラム:旅先の自然と文化に寄り添う

Chapter3
旅行客の奇行とツーリストシップ

信じられない! 旅先で嫌われてしまった観光客の行動
ホテルのケトルでキムチ鍋を食べた人
すきやきを、チャーハンにして食べた人
戦争跡地で騒ぐ子どもたち
オーディオスピーカーの消えたホテル
極端な値下げを要求する人
旅館で汚れを見つけ、支配人を呼び出し、一晩中土下座させた人
下水の溝にゴミを捨てる人
芸妓さんと舞妓さんを勘違いした人
レンタサイクルを川に投げた人
京都―奈良間を「30分でお願い」と言う人
絶対に座布団に座らない人
向こう見ずな写真撮影
怒号の御朱印
せっかちすぎて何も話を聞かない人
ご飯に文句をつける人
コラム:バスの支払いは前? 後ろ?

Chapter4
ツ-リストシップ実践録

観光客の良い行動は広まりづらい
精進料理で涙する男の子
スタッフのお名前付きの置手紙をする
地域のことを少し調べてから行く
地元の事業者さんを飲みに誘う
タクシ—の運転手さんと仲良くなる
電車の中でわざと優先座席に座る
観光客同士で写真を撮り合う
スマホがあれば、土地勘のない旅行者でも助け合える
観光客同士で楽しみをつくる
お土産を買うとき、生産地を見てみる
お土産屋さんの店主に、「地域への愛」を聞いてみる
旅先で「朝活」する
観光客の存在は、住民生活を彩る交流機会

Chapter5
世界に「ツ-リストシップ」を広めたい!

ツ-リストシップの活動の始まり
「ツ—リストシップ」という言葉が生まれた!
ツ—リストシップを広める活動の開始
ツ—リストシップ活動3つの課題
日本は、次の旅行文化をリードしていってほしい
観光は「光を観る」ということ

あとがき

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