正誤表『大学受験 日本史 形式別演習ドリル』 - 2024.04.03
ステフィン・カリー 努力、努力、努力。 自分を証明できるのは、自分だけ
GOLDEN THE MIRACULOUS RISE OF STEPH CURRYTHE MIRACULOUS RISE OF STEPH CURRY
「できないことなんて何もないさ!」嘲り、蔑みをはねのけ、トップに上り詰めた男の人間像
著者 | マ-カス・トンプソンⅡ 著 東山 真 訳 |
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ジャンル | 実用・趣味 |
シリーズ | エッセイ・ライトエッセイ |
出版年月日 | 2020/10/30 |
ISBN | 9784341087722 |
判型・ページ数 | 4-6・376ページ |
定価 | 本体2,000円+税 |
プロローグ
サンフランシスコ・ベイエリアは活気に満ちたバスケットボールの街だというのに、それにしては少し過小評価されているかもしれない。オークランドはバスケットボールの長い歴史を持ち、ビル・ラッセル、ジェイソン・キッド、ゲイリー・ペイトンといった殿堂入りした人物、そしてポール・サイラス、アントニオ・デイビス、ブライアン・ショウ、アイザイア・ライダーや、最近ではデイミアン・リラードのような注目のNBA選手をも生み出してきた。この地域とバスケットボールの関係は深く、ゴールデンステイト・ウォリアーズがまだ強くなかった頃から、強豪チームよりずっと多くのファンが応援してきた。とくに2000年代初頭から、ウォリアーズはハードコアなファンによる安定した基盤を保ってきた。まさに、生きるも死ぬも―死んだことのほうが多いのだけれども―フランチャイズとともに歩んできたのだ。
弱いチームであること以上に嫌なこと、大舞台まで到達しながらもあと一歩で失敗してしまうよりも嫌なことは、NBA界の話題にすら上らないことである。ウォリアーズはそんなチームだった。ファンは長年、無名なチームであることに苦しんできた。スポーツメディアが東海岸中心に動いているアメリカにおいて、西側に潜んでいると、レイカーズという名以外のカリフォルニアのチームは、驚くほどのことをしない限り国民の注目など集められなかった。ウォリアーズで言えば、ラトレル・スプリーウェルがコーチの首を絞めるとか、クリス・ウェバーを放出するようなことだった。
全国ネットのチャンネルでデイゲームをプレーするようなシカゴ・カブス(メジャーリーグ=MLBのチーム)とは異なり、そもそもウォリアーズを目にする機会が少なかったため、同情心や子ども時代の思い出を通して親近感を生み出すことがなく、ウォリアーズのフランチャイズとそのファンはほかの人々にはまるで見えていないような存在だった。長年のウォリアーズのファンは皆、カリフォルニア以外の人に会うと、ウォリアーズがプレーする都市さえ知らないと言われた経験を持っている。誰にも興味を持たれなかったために、何十年にもわたる苦境に陥っていながらも、そこにストーリーを見出す人すらいなかった。
ウォリアーズはずっとチャンピオンシップからかけ離れていたため、そんなことは目標にすらならなかった。ファンが望んだのは、プレーオフに出場し、強豪チームを脅かすことくらいだった。それで少しでもチームの威厳を保つこと、そのほうがチャンピオンリングを目指すよりもずっと現実的だった。もしウォリアーズが、シアトル・スーパーソニックス、ポートランド・トレイルブレイザーズ、ユタ・ジャズのように、マイケル・ジョーダン率いるシカゴ・ブルズにファイナルで負けるくらいのレベルに到達することがあったとすれば、それはもうパレードをするほどの価値があるとさえ言えるだろう。
しかし、そのすべてを変えた男がいる。ステフィン・カリーだ。
(中略)
カリーは、長年にわたってウォリアーズ・ファンが過去に愛してきたすべての小さな選手たちを象徴しているが、忘れてはいけないのが、いわばソフトウェアのアップグレードがなされたバージョンであるということだ。ティム・ハーダウェイの強靭さを持っており、絶対にあとずさりしないメンタリティがあり、内面ではつねに誰かが彼に挑戦しようとすることを待ち望んでいる。スリーピー・フロイドのようなゲーム好きで、彼よりも試合を制することに長け、勝負強い。キース・“ミスター”ジェニングスと同じエネルギーを持ち合わせ、試合に熱狂と興奮をつぎ込むのだ。また彼は、アール・ボイキンスの確実さ、モンテ・エリスの静かな激しさ、バロン・デイビスのスターパワー、それらすべてを兼ね備えている。
2009年の時点で、今の状況を想像した人間など誰ひとりいなかった。彼の母親でさえ、ドラフトの時期には、心配になって、当時フェニックス・サンズのゼネラルマネージャー(GM)だったスティーブ・カーに、「息子はNBAに入れると思うか?」と聞いたくらいだ。息子がファーストチームのオールNBAポイントガードと2度のMVPとなるのを、まさかその目で見ることになるとは思ってもおらず、自分の息子が悲惨なフランチャイズを自分の背に担ぎ上げ、想像すらしたこともない高さまで持ち上げるなんて、これっぽっちも想像していなかっただろう。
しかしウォリアーズは、ドラフトの全体7位指名で、まるで思春期前の子どものようにさえ見えた小僧をデビッドソン大学から選んだ。そして、彼こそが、一獲千金の黄金に大化けしたってわけさ!
【著者プロフィール】
マーカス・トンプソンⅡ Marcus Thompson Ⅱ
ザ・アスレティックのベイエリア版のスポーツコラムニスト。それ以前、18年間、ベイエリア・ニュース・グループでライターとして勤務。ゴールデンステイト・ウォリアーズの番記者として10シーズンにわたりカバーしたのち、サンノゼ・マーキュリー・ニュースとイースト・ベイ・タイムズでNFLやそれ以外のベイエリアのスポーツを担当。現在、妻のドーン、娘のシャロンとともに米国カリフォルニア州オークランド市に在住。
【訳者プロフィール】
東山 真 Makoto Higashiyama
1970年兵庫県生まれ。カリフォルニア州立大学ロングビーチ校大学院修士課程修了(コーチング、スポーツ心理学専攻)、国際武道大学大学院修士課程修了(スポーツ医科学専攻)、龍谷大学法学部卒業。2000年より渡米。カリフォルニア州立大学ロングビーチ校(NCAA Division1)男子バスケットボール部学生スタッフ、パシフィカ高校男子バスケットボール部アシスタントコーチ、NBAサマーリーグ・インターンシップ、bjリーグ国際部スタッフを経て、現在オールアメリカンスポーツ社勤務。また2012年より、米国カリフォルニア州ロサンゼルス・ハーバー・カレッジ(短期大学)の男子バスケットボール部のアシスタントコーチとして8シーズン目を迎えた。将来は、米国の4年制大学にてフルタイムのコーチを目指し、日々修行中。スポーツ心理学、スポーツ医科学のバックグラウンドを取り入れたコーチングを身上とする。バスケットボールをツールに次世代の若者とコミュニケーションし、異文化のなかで人として日々ともに成長していける環境に感謝の毎日。米国での自己の経験や著名なコーチ・選手の言葉を日本語で伝える活動を精力的に行っている。
◆渡米後20年間にわたり書き続けているブログ
『カリフォルニアの風 ~ Basketball Coach になるための旅~』
http://blog.livedoor.jp/m_doginca0505/
CHAPTER 1 “ベビーフェイス”の暗殺者
「俺は人生のなかで、こんな奴を見たことがないよ。俺だって、皆にシリアルキラ-と呼ばれてきたよ。だけど、こいつはなにもかも持っているぜ。なんて言ったらいいんだ、こいつはもう、信じられない、あり得ないレベルとしか言いようがないぜ」
――アレン・アイバ-ソン
(“AI”や“THE ANSWER”の愛称で親しまれ、切れ味鋭い「クロスオ-バ-」を武器にフィラデルフィア・セブンティシクサ-ズなどで大活躍した殿堂入りガ-ド。MVP1回、得点王4回受賞。史上最も身長の低い得点王)
CHAPTER 2 ゲームチェンジャー
「私は今までのキャリアのなかで、ほかのどのチームよりもゴールデンステイトのことを考えることに最も時間を費やしただろう。彼らは本当に楽しいチームだ。私なら、チケットを買って彼らのプレーを見に行くだろうね」
――グレッグ・ポポビッチ
(ライバルチームであるサンアントニオ・スパーズのヘッドコーチ、現アメリカ代表チームのヘッドコーチ)
CHAPTER 3 ウォーデル二世
「カリーはいい人に見えるけど、本当にいい人なの? とよく人に尋ねられる。私はいつも、ノーと答える。なぜなら、彼は見た目以上に、もっともっと素晴らしい人間だからだ」
――リック・ウェルツ
(ゴールデンステイト・ウォリアーズ球団社長兼 COO)
CHAPTER 4 St3ph
「これだけの長距離シューターがほかにいるだろうか? 青信号をもらったカリーのようなシューターは、恐ろしい武器になる。1本や2本外すことなんて、まったく気にしない。もっと遠くから、もっと深くから打ち出すだけだ。すぐに相手は恥をかくことになるだろう」
――ラリー・バード
(ボストン・セルティックスの栄光時代を支えた、NBA 史上最も優れたシューターのひとり)
CHAPTER 5 カリー・アピール
「彼はこの世代のジョーダンだ。我々がみんなマイクみたいになりたかったように、今日の子どもたちはステフを見ながら育っていくだろう」
――ジェイソン・キッド
(ニュージャージー・ネッツなどで活躍し、「ミスター・トリプルダブル」と称された殿堂入りポイントガード。ネッツやミルウォーキー・バックスでヘッドコーチも務めた)
CHAPTER 6 スプラッシュ・ブラザーズ
「彼らは、バスケットボール史上最もシュート力が優れているバックコート陣だ。これに関しては、議論の余地はないと思っている。ふたりとも驚くほど優秀なシューターだ。バスケットボールの“シュート”に限定して考えたとき、彼ら以上に破壊力のあるふたり組は今まで見たことがない」
――マーク・ジャクソン
(ニューヨーク・ニックスやインディアナ・ペイサーズで活躍した元 NBA 選手で、2011年から2014年までウォリアーズのヘッドコーチを務めた)
CHAPTER 7 グラント・ヒルを継ぐ男
「もし誰かに対して投資をし、その人を信じようと考えているのであれば、彼のようなタイプがいい」
――ボブ・マイヤーズ
(ウォリアーズのチームオーナー)
CHAPTER 8 カリー嫌い
「彼が、初めて全会一致で選ばれるベストプレーヤーになるということは、言い換えれば、我々のリーグがどれだけ廃れているかの証だよ」
――トレイシー・マグレディ
(「T-MAC」の愛称で親しまれ、オーランド・マジックやヒューストン・ロケッツで活躍したスコアラー)
CHAPTER 9 ジャイアントキリング
「例えば、ブランドン・ジェニングス。率直に言うが、彼のほうが何倍も高い才能があり、優れた点がいくつもある……それにジェフ・ティーグ、ジョニー・フリン、タイ・ローソン……UCLAのドリュー・ホリデーでさえ、彼より優れた有望株とされている。ステフは確かに素晴らしいシューターであることは間違いないが、純粋なポイントガードではない。登録上は191㎝だが、実際のところは185㎝しかないだろう。それに、決して運動能力が優れているわけでもない。ところが、大学入学時に、ACC(アトランティック・コースト・カンファレンス。全米大学リーグ1部に属す30余りのカンファレンスのなかでも有力なカンファレンスで、デューク大学、ノースカロライナ大学などが属する。カリーのプレーしたデビッドソン大学はA10カンファレンスという中堅カンファレンスだった)にリクルートされなかったようなステフが、NBAのロッタリーピックになれるところまで上がってきたんだ。これこそ、彼の努力の量が相当なものであったことを物語っている」
――ダグ・ゴットリーブ
(著名なスポーツキャスター、アナリスト。ESPN、Fox Sports、CBS Sports、sports talk radiosなどに出演)
CHAPTER 10 アンダードッグ
「彼はパッと見で目に留まる選手ではなかった。当時は今ほど跳ぶこともできなかったし、とくに速かったわけでもない。それどころか、ユニフォームに飲み込まれてしまいそうなくらい小さかった」
――ション・ブラウン
(カリーの高校時代のコーチ)
EPILOGUE
訳者あとがき