新刊

日本酒の魅力が満杯!

“日本酒造り”から“日本酒の雑学”まで

この一冊で日本酒の素晴らしさがわかります。“お酒好き“も“禁酒の方“も、老いも若きも、男女の別なく、楽しめる本です。

著者 白石 常介
ジャンル 実用・趣味
シリーズ 仕事術
出版年月日 2022/09/16
ISBN 9784341088200
判型・ページ数 4-6・200ページ
定価 本体1,500円+税


はじめに

今、なぜ日本酒 ("THE NIHON-SHU”)なのか

日本酒のイメージ

 皆さまは日本酒に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか。
 現在、日本酒は劇的な変化を遂げ、世界でも認知される「世界の酒 日本酒」に生まれ変わろうとしています。
 かなり以前の日本人には、不眠症の解消に「寝酒」をする慣習がありました。お酒をゆっくりたしなむイメージからは程遠かったようです。しかし、時はたち、本醸造酒や純米酒のみならず吟醸系のお酒が登場し、さらにはスパークリング日本酒(発泡性のある日本酒) やカクテルベースなど、アルコールが苦手の人や若者にも飲みやすい日本酒が続々登場してきています。
 イメージとしては、華やかな(純米)大吟醸酒、上品な(純米)吟醸酒、どっしりと構えた純米酒、キリッとした本醸造酒、深みのある長期熟成酒、爽快なのど越しのスパークリング日本酒など、日本酒の選択肢がますます拡大しています。
 また、日本酒はそれ自体もちろんおいしいのですが、日本料理(和食)のみならずフランス料理、イタリア料理や中国料理など、世界のいろいろな料理を引き立ててくれます。
 そのため、日本国内のみならず海外でも日本酒人気が沸騰してきています。ただ現在は、日本酒は生産量の約4%しか輸出されていませんが、そのよぅな状況に満足することなく、海外に酒蔵を構え、地元のお米を使用し、地元の人々に喜ばれる日本酒を醸しているケースも多々見受けられます。
 今や世界中で注目され、お酒として急激に評価が高まっている日本酒、これを本場の日本で放っておく手はありません。

日本酒の造り手・それを取り巻く周辺環境

 日本酒を醸す酒蔵は、以前は醸造手法を自己の秘伝として公開しませんでした。
 しかし、酒蔵の経営者である蔵元の世代交代に伴い、後継者である若手同士の交流・情報交換などにより醸造技術が飛躍的に向上しました。
 高品質の日本酒はむろんですが、飲まれる方々の立場に寄り添った飲みやすい日本酒の醸造、さらには奇想天外な発想などにより、極上の素晴らしい日本酒が続々生まれています。まさに時空を超越した日本の新伝統"THE NIHON-SHU"の誕生です。

 また、お酒を醸すのみではなく、原料である米の自家栽培や人材の細やかな育成など「米づくり・酒づくり・人づくり」の三位一体がさらに充実すれば、若者にとっても大変魅力的な仕事場の提供にもなります。
 さらに、酒蔵の周迈にお猪口などの陶芸品、グラスなどのガラス工芸品、お皿などの木彫り品等を制作・提供する才能あふれる若い作家たちや、日本酒に合うおいしい料理を創造・提供する若人が集うことにより、生活圏の地方への拡大につながり、地域活性化に大いに貢献することになります。

日本酒のたしなみ方

 日本酒の好みは人それぞれです。必ずしも数値の上での「日本酒度がどうだから、酸度がどうだから」ではありません。日本酒の魅力などを説明してくれる唎酒師や酒匠などのプロの言葉はもちろん貴重です。しかし、それがすべてではありません。一番大切なのは、自分がおいしいと感じる日本酒、それが自分好みの日本酒なのです。 
 出来上がった極上の日本酒を好みで選び、そのまま、“温”でたしなむことはもちろん、“冷”でも、“燗”でも面白いほど別の味覚が味わえます。
 さらに、日本酒ベースのカクテルを試行錯誤したり、炭酸を加えたりしながら、自分独自のオリジナルのお酒に仕上げていく楽しみもあります。
 なお、一般的には、店主自らが各地の酒蔵に足を運び自ら吟昧して購入しているような酒販店と仲良くなったり、各地で開催される試飲会に参加したりすることが、おいしいお酒、好みのお酒に出会う近道のようです。
 また、様々な料理に対する相性の良い日本酒選びも興味をそそります。

日本酒の新時代に向けて

 日本酒には以前は“特級” “一級” “二級” などの級別制度がありました。じつは、この区別は品質の差ではなく納める酒税額の違いによるものでしたが、消費者からみれば “特級” や “一級” の高額の日本酒が「おいしい、高品質である」と信じていたようです。
 時は移り、級別では二級酒であっても、本醸造酒、純米酒、吟醸酒といった新製法によるおいしい日本酒を醸す酒蔵が現れ始め、その後、級別制度も廃止され、いわゆる “淡麗辛口ブーム” や "地酒ブーム" が全国で脚光を浴びるようになりました。

 平成元年(1989年)には、特定名称酒(純米大吟醸酒、特別本醸造酒など8分類)による分類が定められ、「フルーティーな日本酒」のもとである吟醸酵母が次々に開発され“吟醸酒ブーム”が沸き起こりました。
 また、全国新酒鑑評会などでの受賞も多くなり、日本酒愛好家からの支持も得るようになり、フルーティーな要素を好む女性層やワイン愛好家なども取り込み、新たな日本酒のイメージが確立されていきました。

 このころになると各業界団体の動きが活発化し、バラエティー豊かになりつつある日本酒を料飲店や酒販店などで販売するために正しいサービスが提供できる人材の必要性が高まりました。
 1991年、日本酒サービス研究会(現「日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会 (SAKE SERVICE  INSTITUTE: 略称SSI)」、1994年に酒匠研究会を統合)では、新たな資格制度となる「唎酒師」認定制度を開始しました。これ以降、日本酒提供者の育成は本格化し、現在、国内外で4万名以上の唎酒師が認定を受けています。
 日本国内では行政による日本酒消費推進の動きも活発化し(「日本酒で乾杯推進」など)、日本酒を主題としたイベントなども全国各地で頻繁に行われるようになりました。

 一方、日本酒の海外市場での需要も高まり、國酒プロジェクトとしての取り組みも行われ、「和食 日本人の伝統的な食文化」がユネスコ世界無形文化遺産に登録されたことも追い風になりました。しかし、現状では、日本酒の全出荷量のうちの輸出に占める割合はごくわずかです。
 そこで、酒蔵が直接各国に出向いて行うPR活動や、現地の輸入業者などが主催する試飲会などが盛んに行われており、SSI自身もSSIインターナショナルを立ち上げ、英語、中国語、韓国語およびフランス語で受験できる「国際唎酒師」認定資格制度を開始し、既に2000名以上が認定を受けています。

 日本酒は過去の課税移出数量(酒類製造者の事業所(酒蔵)から1年間に出荷された酒類の数量)の最高値と比較すると、現在はその1/3まで減少しているようですが、それは日本酒出荷量の約65%を占める普通酒であり、特定名称酒の割合は増加しています。
 また、造り手である蔵元も世代交代し、蔵元自ら杜氏を務める蔵元杜氏も登場することにより、高品質かつ個性的な日本酒造りを行うようになりました。
 女性杜氏や外国人杜氏も誕生し、料飲店や酒販店のスタッフも日本酒に興味を持ち、日本酒の個性を生かしたサービスを心掛けるようになってきました。

 今後、日本酒にかかわるすべての人が一体となり、悠久の時代より受け継がれてきた日本酒文化を進化させて未来へ引き継ぎ、それを消費する人々も悠久の歴史の詰まっている日本酒を好みに合わせて大いに親しみ、造り手・飲み手ともに楽しみを享受する時間を共有できることを切に望んでおります。

まず基本が大事

 何事においても、まず基本が大事です。
 例えば数学にしても、まず足し算、引き算、掛け算、割り算が分からなければ高等数学は分かりません。それは当然のことです。
 日本酒も、まずどのようにして醸し出されるのかを理解し、そのうえで自分好みの日本酒を選んだり、さらにカクテルベースなどにして自分にとって唯一の日本酒を誕生させた りすれば、楽しみは倍増します。
 そこで、本書ではまず日本酒がどのようにして誕生するのかを理解していただければと思っております。
 なお、理解度については完璧を期する必要はなく、ある程度の流れが分かっていただけるだけで、日本酒への愛着度は断然異なってくるはずです。

 日本酒はアルコール飲料ですが、主な原料である水と米と米麹からどのようにして日本酒ができるのでしょうか。日本酒誕生には、「麹菌と酵母」という微生物が大活躍する物語があるのです。
 簡単に言いますと、蒸した米に麹菌が繁殖して米のタンパク質を糖類に変え、その糖類を酵母がおいしそうに食べながらアルコールを発酵させ、日本酒が出来上がっていくのです。
 日本酒は"國酒"として、その地域独特の歴史や文化などが詰まっており、日本国内のみならず海外においても十分に通用する価値を有していますが、肝心の日本人自体がそれに気付いていない、というより、気付こうとしないのではないか、そんな思いがあります。 残念であり大変もったいない限りです。

 本書では、日本酒造りの概要を少しでも立体的にイメージしていただければと考え、『日本酒造りの工程と酒蔵の考え方』を映像で紹介しています。(本文37頁)
 また本書の特徴としまして、皆さまにできるだけ分かりやすく説明し興味を持っていただけるよう、2匹のワンちゃん、チェリ-とスウィーティーを登場させ、ご案内役を担当 しています。

2022年9月吉日                                        白石常介

〈著者プロフィ-ル〉

白石常介(しらいしじょうすけ)

経 歴    
・1956年、群馬県生まれ
・慶應義塾大学卒業
・アーサーアンダーセン会計事務所(東京)入所
・1991年、台湾の勤業会計師事務所 赴任(アーサーアンダーセン台湾事務所、現“勤業会計師事務所”デロイト トウシュトーマツ加盟事務所)。2012年5月 上記会計師事務所退職
・2012年7月白石国際顧問股份有限公司 董事長兼総経理 就任
台北市日本工商会白書編集長、乾杯股份有限公司監査役、乾杯SAKE学苑特別顧問などを歴任する。
現在は、く台湾ぐんまサポーターズ(群馬県観光大使)>く嬌恋村キャベツ大使>などを勤める。

はじめに

今、なぜ日本酒 ("THE NIHON-SHU")なのか

<日本酒のイメージ>
<日本酒の造り手・それを取り巻く周辺環境>
<日本酒のたしなみ方>
<日本酒の新時代に向けて>
<まず基本が大事>
<ご案内役>
チェリー:Cherrie
スウィ-ティ-:Sweetie

Ⅰ部 日本酒造り

一 日本酒の位置付け
<日本酒の歴史>
<酒類の分類>

二 日本酒造りの各工程(概要)
❶ 原料工程:3〜4週間
❷ 麹造り工程:2日間
❸ 酒母造り工程:2〜4週間
❹ 醪造り工程:3〜5週間
❺ 上槽、貯蔵、出荷工程

三 各工程の説明
概要図
❶原料工程 ❷麹造り(製麹)工程 ❸酒母(酛)造り工程 ❹醪造り(仕込み)工程 ❺上槽(搾り)、貯蔵、出荷工程

❶原料工程:3〜4週間
<精米><酒造好適米><精米歩合><特定名称酒><枯らし><洗米><浸漬><水切り><蒸し><放冷>
❷麹造り(製麹)工程:2日間
<麹><破精><糖化>
❸酒母(酛)造り工程:2~4週間
<酵母><酒母><速醸系酒母と生酛系酒母><酒造用水><硬水と軟水>
❹醪造り(仕込み)工程:アルコール発酵(3〜5週間)
<醪とアルコール発酵><三段仕込み><並行複発酵><醸造アルコール>
❺上槽(搾り)、貯蔵、出荷工程:仕上げ
<上槽手法><スパークリング日本酒><杉玉(酒林)><滓引き><濾過><火入れ><賞味期限><調合(ブレンド)><割水><ラベル>

Ⅱ部 日本酒のあれこれ雑学

1 蔵元、杜氏、蔵人
2 酒蔵の一年の節目
・蔵入り・寒造り・甑倒し・皆造・呑み切り
3 酒造年度(BY : Brewery Year)
4 日本酒の選び方
“薫酒”“爽酒" "醇酒”“熟酒”
5 テイスティング:唎酒
テイスティング(唎酒)の主な目的
唎酒の仕方
香りの表現の例
味の表現の例
6 酒器
7 飲用温度、お燗方法、味わいの変化
<飲用温度><お爛方法>
8 上手に酔うための食材選び
“飲む前”“飲んでいる最中”“終盤〜翌朝”
9 料理とともに
“フランス料理”“イタリア料理”“中国料理”“日本料理”
10 日本酒の効能
“血栓溶解効果”“がん予防・抑制効果”“ストレス解消”“リラクゼーション効果”“老化防止効果”“美容効果”
11 日本酒の四季
“春:花見酒” “夏:祭り酒” “秋:月見酒” “冬:雪見酒”
12 日本酒の演出家
13 一日の終わりに
14 酒の神を祀る神社
・島根県出雲市にある“佐香神社”ほか
15 台湾の酒の席での対応
・お酒が先か食事が先か・ひとりで飲まず、誰かを誘って飲む ・お酒が空になった場合・乾杯(ガンベイ)・酒癖

おわりに

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