正誤表『大学受験 日本史 形式別演習ドリル』 - 2024.04.03
旅するパリより 住みたいパリ
パリの魅力と住み方を紹介します
プ口口―グ
人生にも終わりがあるように働くことにも終わりがやってくる。 ほとんどの人が一定の年齢になると仕事に区切りをっける。 なぜなら働く人が多すぎて場所も仕事もなくなるから順次交代しなければならない。 人が死ぬことも同じで生き続けていれば人口が増えすぎて地球に居場所がなくなるから死んで場所を譲る。
仕事を終えて自由になったとしても夢のような時間が待っているわけではない。 自分で進む方向を選ばなければ誰も決めてはくれない。 時間という人生で最も大切なものをふんだんに持っている立場になった人に私の経験をお伝えできればと思う。
家庭のことは女性に任せ、 仕事に邁進していて格好良く見えた夫が稼ぎの終わったあと、家にいたら妻はやっていられない。テレビお宅は1年で飽きる。毎日亭主に居られたら食事の準備をするのは大変だ。家庭の仕事で何が嫌だって毎日の料理だと答える女性は多いはずだ。そういう時勇気を出して2人で外国に行き、どちらも慣れないところで同じように苦労してみるとよいと思う。 夫はなじみのないアパートで外国語のテレビなんか見たって面白くないので、なんやかんやと家事をするようになる。 夫は頑張るかもしれない。
私は自由業であったので自分で決めて仕事を辞めて、 人に譲った。同じことを何十年もやり続けるのも嫌だ。仕事は死ぬまでできるわけではない。残された時間は少なくなっていく。仕事を辞めた後も同じ家でご飯を食べ、 同じ部屋で寝て何か踏ん切りがっかないではないか。
自分の居場所を変えるのが手っ取り早い。
別の場所に行けば何か違う自分が、今までより価値のあるものが発見できるかもしれないし、鍛えられるかもしれなぃ。日本の田舎もいい。農業をやるのもいいかもしれない。でも基本的には日本のなかだ。苦労は少ない。苦労が世界を広くする。
パリに滞在しよう。なぜパリか? パリは特別な存在だと思う。 どのヨーロッパの街より訪れてみるべきところだと心底思う。
(中略)
それではパリの街はどうだろう。街全体が世界遺産というだけあって、長い間かかって積み上げられた歴史がある。 中心部は新いぃ建物を建てることは禁じられている。
古い石造りの建物は風雪と戦争に耐えてきた。レンガ造りの建物があると思えばどっしりとした石造建物に彫刻が施されていたり、 茶色の石でアクセントがつけられたり、 イギリスの影響が強かった時にできたリバティーの店を代表とするビクトリア朝の建物があったり。その古い建物から煙突がにょきにょきとでていたりする。それがパリらしい。 建物を分類したり、 写真に撮ったり絵に描いたりするだけで楽しいだろう。
古い建物は例外なく開き窓でべランダ付きも多い。 張り出したベランダの手すりもいろいろあり、 鉄のデザインが違ってその模様の分類も面白い。 私はそこまで調べる能力と時間がなかったが、 西洋建築のさまざまな面を見ることができる。
何よりもパリの街の大通りが魅力的だ。 大木となった並木はどの都市にもないすばらしさだ。所々にベンチが置かれているので座って行き交う人を眺めるのもよい。並木の1年の変遷をスケッチしても写真に撮ってもよい。
春夏秋冬と変わる並木の中にたいていは1つや2つの銅像がある。 堂々として豪華絢爛だ。馬のブロンズ像も見ることができる。ヴィクトワール広場の馬が両前足を上げてルイ14世がまたがり軍隊の指揮している像には、気品や強い意志が感じられ、感動さえ覚える。重さをどうやって支えているのか。豪華に装飾された噴水も数多くある。石文化の燃えない強固さ、それがパリである。
たとえ語学がにが手でも壮大な歴史を体感しながら生きていることを感じるだけで充分だ。人通りはどこへ行つてもそれほど多くないので、自分の存在がニューョークなどとは違って価値あるものとして感じられる。
そして、圧巻はルーブル美術館である。 ここに行くだけでお金をかける価値がある。天才たちの作品が一同に会している。
パリオぺラ座ガルニエは見学だけのツァーもある。 建築様式も抜きん出て豪華である。どんな人たちがここで歌い踊り演奏したか?それを観賞した人々が何万人いたかわからない。おそらく1億人以上だろう。数学の得意な人は数えてみるとよい。その統計は観光案内本に載るだろう。
食習慣の文化もある。 おもてなしの役目は日本と違って男性が担っている。 日本の料亭で男性がサービスするところは少ないが、 フランスのレストランで女性がサービスをしていたら一流店ではない。男性の長い前掛けをした優雅な姿が料理を引きたててくれる。
料理が好きな人にはパリ以上の場所はなぃだろう。 さまざまな新鮮な食料品が店にあふれている。日本は食料品が豊かなどと言う人もいるが、パリで毎日のように買い物に明け暮れた私は恥ずかしくて言えなぃ。 新鮮な食材が並べられたパリのマルシェと比べ、 帰国後何もかもプラスチックの包装紙に包まれている日本のスーパーでのショッピングに飽き飽きとしてしまった。ありあまるお金があれば、飛行機で今晩のおかずをパリに買いに行き、 日本に持って帰り夕食をしたいくらいである。
本書では私が体験したパリの魅力をさまざまな角度から紹介した。 パリ滞在の一助になれば幸いである。
2019年5月
今井千美
著者プロフィール
今井干美(いまいえみ)
1943年生まれ。医学博士。現在、エミ内科クリニツク院長。鎌倉在住。
1970年群馬大学医学部卒業後、 同年東京女子医科大学日本心臓血圧研究所入局。 1980年内科クリニック開設。その間マニラ、ジュネーブ近郊に滞在しながら信州大学医学部公衆衛生学委嘱講師を務める。
1994年から1995年まで、 日本のNPOの一員としてチェルノブイリ原発事故の人道支援のためモスクワ、キエフ、オブニンスクを6回にわたって訪問。また、2000年にはインフラ支援のため、ブータンに滞在。
2002年同院を閉院し、2年半パりに滞在。循環器疾患に関する著書に「日本医事新報」(日本医事新報社)、 「診断と治療」(診断と治療社)などがある。
1章 パリに住む
●パリに到着
●ぺ゛ット連れでの口ングステイ
●入国審査
●オルリー空港の職員の気遣い
●長期滞在のビザを取得
●パリのアパルトマン
●住む地域と情報の集め方
●家賃の相場
●アパートメントホテル
●銀行口座を開く
●滞在延長を申請する
●帰国時にすること
2章 パリのグルメ事情
●フランス料理とは何か
●フランス料理はコース料理
●昼食に何を頼むか
●レストランのサービス
●食材の多様さ
●フランスの牡蠣
●牡蠣よりおいしいムール貝
●バラ工ティー豊かな食
●ジビエなんて!
●フレンチ・パラドックス
●バゲットの世界
●工ンゲル係数と働き方
●再びバゲット事情
●パン職人の早すぎる引退
●ラテン民族のパンの味
●ケーキはパン屋で売っている
●フランス人はチーズが大好き
●チーズの好みも人それぞれ
●チーズとワインの相性
●近所のマルシェ
●家飲みワイン
●レディメイドの食事
●パリのカフェ
●力フェ文化とフランス人
●プ口ヴァンスの先生宅での食事
3章 パリファツションの極意
●街中で目立つ観光客
●有名店の悲喜劇
●パリの日躍日
●ガル二工宮の夢と現実
●着物と真珠
●宝石のように珍重されたレース
●パリで服地を買う
●領収証と引き換えの商品
●素敵な服地店の裏話
4章 パリで学ぶ
●ピアノを習う
●先生の関心を惹く
●フランス芸術を支える
●3人のピアノの生徒
●日本より気楽な音楽会
●ピアノコンクール
●有名コンクールを堪能
●静かなファイナル
●フランス語を学ぶ
●ルーブル美術館の魅力
●どこからどのように見たらいいのか
●ルーブルで印象に残った絵画
●テーマを決めて鑑賞する
●蚤の市で複製画を買う
●オルセー美術館
●その他の美術館
5章 パリの街歩き
●パリの街の美しさ
●切符よりパスが便利
●自動開閉しないメトロのドア
●メトロで見た人間模様
●お勧めはバス移動
●メトロの下にあるもの
●パリのトイレ事情
●パリ郊外に足をのばす
6章 トラブルの防ぎ方
●泥棒が多いと知っておく
●二ツケルコイン泥棒
●街中はひったくりだらけ
●メトロの子どもスリ
●家具配送で起きた事件
●管理人も泥棒!?
●近所にいたホームレス
●老女と犬連れの男
●病気やケガをしたら