がん細胞が消えた! 余命6ヵ月からの免疫対策

NEO AGING

免疫の源流に挑む!ステ-ジⅣでもあきらめないで ” 脱アセチルからがん細胞除去治療へ ”

著者 中谷 敏典
ジャンル 実用・趣味
シリーズ 健康・美容
出版年月日 2021/10/07
ISBN 9784341087975
判型・ページ数 4-6・224ページ
定価 本体1,500円+税

手遅れなんて言わせない!
ほかがお手上げでも大丈夫!!

まえがき    免疫治療の源流に挑む『がん細胞除去治療』とは・・・・・●

 患者さんが引きも切らないという『がん免疫治療』クリニックが、東京駅八重洲南口を 出てすぐのところに存在する。患者さんのすべてを、院長である宇野克明医師が直接診療するという東京MITクリニックだ。
 かれこれ30年以上もがん治療を続けているという氏だが、その信頼の裏付けをあげるとすれば、まずはこれまでの診療総数が宇野医師一人で2万数千余人にのぼること。そしてなにより秀でる点は、氏が免疫治療に不可欠な高度精密免疫検査システム『リスクチエッカー』をわが国で唯一保有している点だ。
 実際、がん免疫治療には数多くの方法が存在し、患者さん自身に合う治療方法を選びだすこと自体がとても難しい。それぞれの病状・進行度によっては実施しても意味のない治療が、いくつも存在するからだ。そうした実情に、この事前調査システムの活用が大きく貢献してきたことは想像に難くない。

 読者はがん免疫治療というと、どんな治療方法を思い浮かべるのだろう。
 おそらく、健康保険が使える診療で一番に思いつく治療が、2014年に保険適応となった免疫チェックポイント阻害剤『オプジーボ』『キイトルーダ』などではないか。これらの薬剤はこれまでにない効能、つまり、がん細胞と闘うリンパ球(免疫細胞)の働きを妨げていたブレーキを解除し、アクセルを「ベタ踏み」状態にして効果を発揮させるのが特徴だ(つまり、免疫細胞を“暴走”させて、がんを叩く)。
 あるいは、最新のトピックスから探すなら、ようやく臨床応用が始まった『光免疫治療』 を思い浮かべる人もいるだろう。この治療は、ある特殊な薬剤を投与したあとに特定の波長を持った光線を患部に照射すると、それだけでがん細胞が破壊されるという触れ込みだ。

 しかし、高度進行がん・末期がんと診断されてからそう思案してみても、そのままでは元気でいられる期間にも限りがある。時の流れは早く、その一日はとても短く感じられるはずだ。そんな焦燥感がつのる毎日なのに、やっと知り得た新たな治療でさえ、時に期待を裏切るという現実に、この世のシリアスさを垣間見る。
 それはなにも、免疫チェックポイント阻害剤、光免疫治療に限ったことではない。それは多くのがん治療に共通した、「治療の適応レンジが非常に狭い」という性質によるものだ。つまり、「このがんに限り」「この程度の進行度まで」といった制約が多く、それに合致する病状の患者さんだけしか治療の恩恵には与れないという問題点だ。確かに前二者の治療発想は素晴らしく、ピタリと嵌まった症例には時に脱帽せんばかりの効果さえ示すことだろう。
 だが、高度進行がん・末期がんに至ってしまい、切に治療を願う人ほど、そうした恩恵が得られるケースも少ないというのが、厳しい現実なのだ。

 そこで、こうした場合にがん患者さんの受け皿となっていたのが、各種のがん免疫療法を提供する専門医療機関の存在だ。なかでも比較的知名度の高いものには、免疫細胞の一種であるNK (naturalkiller)細胞や樹状細胞を用いる『リンパ球療法』などがある。これは、患者さんの血液からNK細胞、樹状細胞といったリンパ球の仲間を採取し、大きな滅菌容器のなかで培養し、大量に数を増やしてから体に戻すというもの。ネットや各種の情報媒体で盛んに広告されていたので、一度は目にして検討した人もいることだろう。
 しかし、これまでの取材を通じて多くのことが判明した。勘違いしていた人も多いだろうが、残念ながら、これらの"療法"によって高度進行がん.末期がんが改善したというケースは「かなり稀」であったのが実情だ。
 細胞培養を生業とするいくつかのベンチャー企業は、ある程度の成功を収めたのかもしれない。そういったビジネス面ばかりのメリットが先行し、症例を選ばず、あたかもすべてのがん症例に効果があるかのような広告合戦をもたらしたことは、その治療を取り扱っていた医療機関、患者さんの双方に大きな不幸をもたらしたはずだ。

 こうした状況があったからこそ、筆者はあらためて「外科・腫瘍免疫学と、分子免疫学研究」が専門の宇野克明医師を訪ねて話を伺うことにした。膨大ながん患者さんの免疫治療に携わってきた宇野医師が、これまでの経験則上でなにを大切にしていたのかを是非と も知りたかったからだ。
 そして判明したのが、氏が全く新しく、かつ最善と判断したがん免疫治療、すなわち、がん免芟の「源流対策」と「ネオアンチゲン」という新しい仕組みを応用した治療『がん細胞除去治療』の全貌であった。

 斬新かつ独創的に命名された治療法だが、けっして独善的ではない。従来の保険診療と相反するものでないことは、宇野医師が日ごろから積極的な医師連携を整えていることからも見て取れる。ノーベル賞を受賞した研究から生みだされた免疫チェックポイント阻害剤オプジ-ボを含め、あらゆる最新の保険診療とも共存、共用が可能なのだ。見方を変えれば、日本のがん医療がようやく宇野医師に追いついてきたともいえる。
 そして、すでにがん細胞除去治療は目覚ましい実績をあげはじめ、全国から東京MIT クリニックにやってくる高度進行がん・末期がん患者さんの心のよりどころになっているという。
 では、宇野医師が、現時点で最も推進しているがん細胞除去治療とは、具体的にどんな治療法なのだろうか。
 その治療手順を簡単に表すと、がん細胞が自らを「がん細胞だ」と明かす目印となる「内因性ペプチド(微小なタンパク質)」をがん細胞の表面に掲出させることだ。そして、この内因性ペプチドを患者さんの免疫細胞に知らしめることから治療は始まる。それにより、破壊力の最も強力な免疫細胞「活性化キラ-T細胞」をがん腫瘍の局所に集結させ、同時にがん細胞の消滅を図るプログラム細胞死「アポトーシス」という反応を惹起させる方法だ。
 宇野医師は、すでに内因性のがんペプチドを高い確率で発現させ、活性化キラ-T細胞を効果的に差し向ける技術を習得している。それは宇野医師のこれまでの出版活動によっても明らかにされているが、筆者が注目したのは「免疫機能の源流部分」だ。すなわち、一番に対処し、免疫細胞に認知させるべきがん細胞の排除戦略を、内因性がんペプチドにまで視野を広げて構築したこと。加えて、「がん細胞は究極の老化細胞である」という視点を持つことによって、老化して秩序を失ったがん細胞を「若化細胞」に変身させるリセット術を臨床経験から編みだした点だ。
 つまり、「ヒトの老化」と「免疫細胞の老化」、この二つの問題を同時クリアすることで、がん免疫治療の最終章とも目される治療連携を可能にしたのだ。
 「若化」とは、「老化」の反対を意味する言葉である。では、なぜがん細胞を若化させる (若返らせる)とよいのだろう。
 それは、若化によって再び免疫細胞にがん細胞の目印(がんペプチド)を認知させられるからだ。その結果、がん細胞の検出がはるかに容易になり、免疫細胞による攻撃、つま りヒトが持つ免疫応答を最大限に発揮させることができるのだ。
 がん細胞に対するこうした視点は、宇野医師が外科医であったのと同時に、基礎系医学分野の教育や、分子細胞生物学の研究領域に携わっていたことが影響しているのだろう。

 時代の先端を行くがん細胞除去治療、ぜひ最後まで読み進めていただきたい。


■中谷敏典(なかや・としのり)

薬事・医療ライター。1968年、静岡県浜松市出身。中央大学法学部中退。 編集プロダクション、出版社勤務を経て2021年からフリーランスに。本作が初の著書。

まえがき

第1章 高度進行がん・末期がん患者に贈る『がん免疫治療』

がん診療、保険診療のあらまし
早期がん、早期進行がんなら、標準治療を優先せよ
手術後の抗がん剤投与は、再発の危険を回避する
がん保険外診療の歴史
分子標的薬と、免疫チェックポイント阻害剤
ペプチド系の『がん免疫治療』と、プレシジョン・メディシン
20年以上も前に完成していた、がん免疫検査システ厶『リスクチェッカ—』
がん破壊の手がかりとなる「がんペプチド」
がん細胞が除去される過程
がんを見つけて破壊に導くペプチド「MHC (HLA)」
自身のがん特有の目印を叩く『ネオアンチゲン治療』

第2章 免疫を強化するための『若化』

がん細胞の発生原因、老化とテロメアの短縮
がん細胞は老化によって「アイデンティティ」を失った
異常細胞の情報を提供する二つのペプチド「MHC分子」
最後はミトコンドリアが異常細胞を破壊する
猛烈に老化して暴走するがん細胞
成長ホルモンが低下すると、免疫細胞(リンパ球)も老化する
「GHRP—2 Jペプチドで、成長ホルモンを蘇らせよ

第3章 ヒトの奥深き免疫の世界

「抗がん性サイトカイン」の復活で、がんを改善させよ
免疫応答が持続すると、枯れてしまう「抗がん性サイトカイン」
免疫枯渴(免疫疲弊)が強いと、免疫チェックポイント阻害剤は効かない
精密な「がん免疫検査」をコスト面で見送った保険診療
免疫チェックポイント阻害剤を使うなら、免疫細胞を若返らせよ
炎症性老化を放置すると、免疫の暴走「サイトカインスト—厶」が始まる
保険診療の腫瘍マ—カ-は、疑ってかかれ
『リスクチェッカ-』は、がんの本質を浮かび上がらせる

第4章 がん免疫検査システム『リスクチェッカ-』

『リスクチェッカー』の概要
増やすべき抗がん性サイトカイン、減らすべき炎症性サイトカイン
膨大な検査数と特殊な測定方法が、「サイトカイン」診断につながった
自然免疫の状態をチェックする「NK細胞活性」
がん免疫治療の適性をチェックする「ヘルパーT細胞比率」
がん関連ペプチド(広義の腫瘍マ—力—)が、がんの病状をあぶり出す
リスクチェッカ—の前に立ちはだかる「保険適応」の壁
染色体の不安定性 (CIN) が、遺伝情報のエラ—を察知する
手術後の「がん取り残しチェック」を忘れるな

第5章 これが最善・最新のがん免疫治療『がん細胞除去治療』

最も新しいがん免疫治療『がん細胞除去治療』の手順
遺伝子DNAの突然変異と、免疫応答のゆらぎ
保険適応になった、各種がん免疫治療薬の補足
NK細胞療法は、なぜ「効果が出なかった」のか
多くの免疫治療医が勘違いをする、抗酸化対策
がん免疫治療の評価法とは

第6章 東京MITクリニック宇野克明院長による報告

症例1 「完治の見込みなし」から6力月、肝臓の多発性転移はおおむね消失
症例2 活動性が高い残存がん。がん細胞はほぼ消失
症例3 複合免疫治療で転移性がんはおおむね消失
症例4 余命1年から、再発がん腫瘍自体の増大は停止。共存状態に近い
症例5 咽頭部にあったがん腫瘍はかなり縮小
症例6 転移した肝臓がんは6力月後、ほぼ消失
症例7 治療前に存在していた骨盤内のリンパ節転移はほぼ消滅
症例8 肝臓に多発した転移がんはほぼ消滅し、マーカ—値も正常化
症例9 余命宣告から治療が著効、さらなる改善を目指す
症例10 膀胱の背面に広がっていた局所再発病巣はほぼ消滅
症例11 大幅に縮小したがん腫瘍と共存状況にある
症例12 「手術は不可能、延命治療のみ」と言われたが……
症例13 治療2力月で縮小、半年後も縮小維持
症例14 進行の阻止・を目指して治療を開始。がん腫瘍が効果的に縮小
症例15 がん腫瘍が大幅にサィズを縮小して共存関係を保っている
(補足1) 症例16-17
(補足2) 症例18-19
(補足3) 症例20-21
(補足4) 症例治療統計
適切なるがん免疫治療を希望する方々に

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