ガイドヘルパーが感動した 驚きのチャレンジ精神

はじめに

　パラリンピックのマラソンランナーが伴走者と一緒に走り、見事にゴールインしたときは本人だけではなく、伴走者も完走することができた喜びがあります。さらに入賞できるとマスコミからインタビューをたのまれることもあります。
　実はもう一人、そのお二人と同じぐらい喜んでいる人がいます。マラソン会場でマラソンランナーを伴走者に引き継ぐ同行援護従業者です。同行援護従業者はマラソン会場まで無事にお送りしなければなりません。遅れてしまって、大会に参加できなく なったらたいへんです。
　それからマラソンランナーは緊張していますので、リラックスできるような話しかけをするのも大切なことです。ご自宅を出られてからベストな状態で走っていただけるように会場まで同行してきました。ですから完走されたときの喜びもひとしおなのです。
　視覚障がいがある方のための福祉サービスとして、同行援護従業者が外出の支援を行っています。これは単なる移動支援だけではなく、情報支援を含む外出時の同行に関する支援も行っています。
　私は小学校の教員として六十歳の定年まで勤めましたが、この間、子どもたちの学業に対する考え方の柔軟さ、さらにスポーツや芸術の才能を発揮するのを見たとき、感動することがたくさんありました。
　そして、定年退職後に同行援護従業者の仕事に就かせてもらいましたが、教員時代と同じよぅに、視覚障がいの方からもたくさんの感動をいただくことになりました。
　視覚障がいのある方がこれほど活躍をしていらっしゃることは、私はこの仕事に就かせていただくまではまったく知りませんでした。
　本書の第1章では、ガイドへルパーの私が出会った10名の方々からいただいた感動、驚きのチャレンジ精神を紹介しています。なぜそこまでできるのか、どんな人生を送られてきたのか、これからの夢をお聞きしました。
　第2章では、ガイトへルパーの仕事の一部を紹介します。同行する中で私が「ぜひとも蕃者にも知っていただきたいこと」を選びエピソ－ドを交えて紹介します。
　なお移動支援以外の内容につきましては、勤務時間外に行っています。本書が、視覚障がい者の方、そしてそのご家族の方に、さらには関係者の方々に、少しでもお役に立つことができれば幸いです。また、健常者の方が、障がい者に対する印象や理解が深まる一助になればこれまた望外の喜びです。
　なおガイドへルパーと言う名称は、身体障がいや聴覚障がい等さまざまな障害によって外出が困難な方のサポ－卜を行う人のことですが、本書では「ガイドへルパ－」の名称を使っています。また外出支援を行う視覚障がいの方も事業所への報告などで使っている、「利用者さん」と言う名称にしています。

2023年9月
　　　　　　　　　　　　　　村山　茂

♦著者略歴

村山 茂　(むらやま しげる)

1954年、兵庫県西宮市生まれ。
高校を卒業後、国鉄(現在のJR)に勤務して、4年で車掌になる。佛教大学教育学科 (通信教育)に入学して、教員免許を取得。
1985年、国鉄を退職した翌年に、兵庫県において小学校教諭となる。FM伊丹の市民スタッフにもなり、現在も番組(ディスクジョッキー)を担当。
2015年、小学校を定年退職後、引き続き非常勤で現在も児童を指導。ガイドヘルパー (同行援護従業者)の資格を取得し、視覚障がい者の外出、活動を支援している。
主な著書
『やはり、ブラックなんでしょうか？先生の仕事を100選びました。』ごま書房新社
『クイズ鉄道100線の歌』成山堂書店
『阪神・淡路大震災から100学んだ』海文堂出版
『親子で楽しむ兵庫の算数』(共著)甲南出版
『可愛い子には鉄道の旅を』交通新聞社新書
『JRの車掌と小学校の先生、さらにはアナウンサーになった件』マイナビ

第１章　視覚障がいがある10名の“チャレンジャ—”

驚きのチヤレンジ精神　マラソン
驚きのチヤレンジ精神　パソコン教室
驚きのチヤレンジ精神　御師匠さん
驚きのチヤレンジ精神　登山
驚きのチャレンジ精神　水泳
驚きのチャレンジ精神　ウォ－キング
驚きのチャレンジ精神　バンド演奏
驚きのチャレンジ精神　78歳で博士号
驚きのチャレンジ精神　ボウリング
驚きのチャレンジ精神　サウンドテ－ブルテニス

第２章　健常者にも知っておいてほしいガイドへルパ—が体験した30のエピソ—ド

日常生活
白杖／歩道・路側帯／スロ—プ／点字ブロック／階段／ドア／卜イレ／盲導犬／宿泊

乗り物
バス／電車／タクシ—／新幹線／船／飛行機／エスカレータ—／エレベ－タ－／車椅子／歩行器・歩行車・シルバ—力—

行事
お通夜・告別式／会議／年末／年始／参拝

大事なことです
確定申告／選挙／病院での検査／薬局／面会／外出許可

おわりに