正誤表 『スティ-ブ・ジョブズと井深大 二人の“イノベ-ション”が世界を変えた』 - 2025.03.06
新版 行為の意味
青春前期の君たちへ贈る心の詩
第8回全国中学ビブリオバトル決勝大会、優勝者が選んだ本!悩んでいる人、つらいことがある人に読んでほしい-優勝者のことば
著者 | 宮澤 章二 著 |
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ジャンル | 教養 |
シリーズ | エッセイ・ライトエッセイ |
出版年月日 | 2025/05/28 |
ISBN | 9784341088804 |
判型・ページ数 | B6変・150ページ |
定価 | 本体1,182円+税 |
いま わたしの踏みしめる一歩は
だれか他の人の一歩ではない
わたしの足が地上に刻む一歩は
いつでも わたし自身の一歩なのだ
他の人より一歩先を歩くからといって
他の人より優れているとは限らない
他の人より一歩後を歩くからといって
他の人より劣っているとは限らない
<自分の一歩>より
まえがき
「こころ」はだれにも見えないけれど
「こころづかい」は見える
「思い」は見えないけれど
「思いやり」はだれにでも見える
2011年3月11日。未曽有の大災害が東北を襲い、日本中にかつてない衝撃を与えました。その被害の大きさに、多くの人たちが嘆き、悲しんだ記憶は未だ消えることはありません。そして、その時にテレビで流れた詩のこの一節が大きな反響を呼びました。
本来日本人が持っている「こころづかい」や「おもいやり」、さらに「生きること」の大切さを思い起こさせてくれたと思います。
それが、その後のボランティア活動に影響を与えたともいわれています。
私自身も、たまたま入った食堂の壁に、この四行の詩が記された紙があるのを目にして、思わず泣きそうになったことも覚えています。
テレビを見た若者が、高齢者や障がい者、妊婦に席を譲る姿が増えたとも聞きました。
他の人より一歩先を歩くからといって
他の人より優れているとは限らない
他の人より一歩後を歩くからといって
他の人より劣っているとは限らない
2025年3月9日。「第8回全国中学ビブリオバトル決勝大会」が京都市で開催され、大阪市の男子中学2年生が優勝しました。
部活動に挫折し、「自分は劣っている。恥ずかしい」と思い詰めていた時、「これを読んでごらん」と、先生から渡されたのが詩集『行為の意味』でした。
その生徒が選んだこの詩は、「自分の一歩」という詩のなかの一節です。
「劣等感にからめとられ、身動きができなくなっていた自分の心にズシンと響いた」
優勝した彼が、その時の心境をそう語っています。
冬。極北の空に、ひときわ輝く星があります。人は、その星に向かって様々な想いを託します。
そしてこの星は、古き時代から、旅人の道しるべとなってきました。
2005年3月。一人の詩人が亡くなりました。
その詩人は、全国の小中高約300校の校歌を作詩するとともに、過去30年間、ある教育冊子に、中学生にむけて、力強い詩を贈り続けてきました。
最初はたった一遍の詩を載せただけのその行為が、いつしか、その詩人のライフワークの一つになりました。毎月、毎月、その詩人は、自分が生み出す一遍の詩に、自身の中学生への想いを託しました。
おそらく、日本の詩人の中で、中学生のために30年間も詩を書き続けたのは、その詩人だけではないでしょうか。
人間の日々の営みの中で生まれる行為の意味とは?
その詩人宮澤章二は、詩という形で、子どもたちに想いを伝えたいと思ったのです。
2025年の今、宮澤章二が語りかけるその言葉に、いま再び注目が集まっています。
この詩集に収録された詩のほとんどは、中学生のために書かれたものですが、思春期を生きる中学生高校生ばかりでなく、老若男女、世代を問わず、たくさんの人々に読み継がれています。
この度刊行された本書によって、宮澤章二の想いが一人でも多くの方々の心に届くことができれば、宮澤章二の家族のひとりとして、これ以上の喜びはありません。
令和7年5月 ◆ 息子・宮澤鏡一
◆本書は『新装版 行為の意味』(2018年ごま書房新社刊)を四六判から新書版に改版して『新版 行為の意味』として刊行 したものです。
宮澤章二 (みやざわしょうじ)
大正8年(1919年)6月11日、埼玉県羽生市(旧北埼玉郡三田ケ谷村)生まれ。
昭和18年、東京大学文学部卒業。
高校教諭を経て文筆業(詩と歌詞)に専念。
作詞関係では童謡・歌曲・合唱曲・校歌・市民歌等を多数手がける。
中でも校歌は小・中・高校など300校に及ぶ。
日本童謡賞、赤い鳥文学賞特別賞等を受賞。
日本現代詩人会会員、日本童謡協会常任理事、
日本作詞家協会理事、埼玉詩話会顧問等を歴任。
主な著作は「蓮華」「空存」「枯野抄」「風魂歌」等多数。
クリスマス・ソング「ジングルベル」の作詞者としても知られている。
平成17年3月 11日逝去。
行為の意味
君たちが歩くとき
自分の一歩
出発の季節
出発の季節
自分で見つけながら
いのちの世界
原点について
若葉の道
人間として生きたい
自分の天
七夕風景
宝石
見えないものを
だれに見られなくても
ぞうきんのうた
日常風景
父と子
母と子の季節
あなたに語りたい
耐える
視野
前進の季節
友だちの風景
身構えているもの
朝が楽しい季節
手をつなぐ
五月のかがやき
若い涙を流しながら
勇気の系譜
二度とない一日
限りなく広く深く
なみだよ
試されている
避けてはならない
目標
贈り物
迷うことなく人間でありたい
待たれているから
結実の季節
独りではない
新しい光のなかで
広野の花のように
一心不乱に
怠惰なんてやつは
強く そして あたたかく
結実の姿を悔いない
生きる身を燃焼させながら
歩かねばならぬ道
自分の道がある
今日はいい日
こころが傷ついたとき
いのち輝くとき
この世でしか会えない
せっかく生まれたんだから
新しい道を歩いている
新しい今日を
青春前期
旅立ちの季節
別れの季節
さようならをいうまえに
ことばの風景
流れのなかで
出発の意味
ジングルベル