ごま書房新社

\お互いさまの街ふくしま 発/“ 恩送り”が世界を変える!仕事も人生もうまくいく究極の生き方

\お互いさまの街ふくしま 発/“ 恩送り”が世界を変える!仕事も人生もうまくいく究極の生き方

NPO法人チームふくしま 著 |Noriko 文 |志賀内 泰弘 監 |半田 真仁

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内容説明

はじめに

<「恩送り」ってなんだろう?>
 ある日、高校3年生とこんな授業をしました。

 みんなは「恩送り」という言葉を知っていますか。
「オンオクリ」です。

 いつだったか、みんなに、震災で被害を受けた福島市にある「BLTカフェ」の動画を見せたことがあるよね。そのお店に置かれていたのが「恩送り」の<お互いさまチケット>だった。
みんな覚えているかな?
 その「チケット」をお店の人に見せると、誰でも無料でハンバーガーを食べられるんだ。
「あ、見た、見た。『恩送り』だった!」

 みんなは、友だちにメッセージを「送る」と、返事が返ってくるのを待つよね?
 でも、友だちに誕生日プレゼントを選ぶときはどうかな?「お返しのプレゼントがほしいから、この子にプレゼントをあげよう」とは思わないよね?
 これと同じで、「恩」も、見返りを求めずに、「送る」というのが大切だと思うんだ。 

「先生、ぼくはこの『恩送り』を最初に始める人になります!」
 さすが!そうだね。自分から先に「恩を送る」ことが大事だね。
 あなたの「恩」を受けた人が、次にまた「恩を送る」ことで、「恩送り」の連鎖が始まるんですね。
 この連鎖を始めたのが、BLTカフェのオーナーだった「ハグさん」。
 ハグさんについては、のちほど詳しくお話しますね。

みんなの「恩送り」体験を教えて!

 さっき話題になった<お互いさまチケット>という「恩送り」で すが、実は私たちの日常生活の中でたくさん行われています。みなさんがこれまで体験した「恩送り」にはどんなものがあるのか、教えてくれますか。

「『恩送り』、ですか?」「どういう体験のことですか?」

 そうだね、たとえば、「誰かから優しいことをしてもらって嬉しくなったので、他の人に優しくした」ということでもいいし、「学校で友だちに褒められて気持ちがウキウキしたから、家に帰って皿洗いの手伝いをした」ということでもいいですよ。
「自分がされたことと同じことを誰かにする、ということでなくてもいいんですか?」
 そうです。自分ができることをする、ということでいいんです。

生活の中の、「恩送り」体験

 さてここからは、みんなの「恩送り」体験を紹介しましよう。

*友だちからジュースをもらったから、別の友だちに500mlの缶 ジュースを箱買いしてあげた。
*学校のあいさつ運動であいさつをしてもらって気分がよくなった から、自分もその人たちにあいさつをした後に、他の人にもあい さつをした。
*飲食店でアルバイトをしているときに、お客さんから「ごちそうさまでした。おいしかったです」と言われて嬉しかったので、自分もお店で食べ終わったときに店員さんに同じように言うようにしている。
*ある店の店員さんの接客がとてもよかったので、自分がアルバイ卜をするときは、その店員さんを真似して、よい接客ができるように頑張っている。
*アルバイトをしているとき、お客さんに「おつかれさま」とおかしをもらった。私も別のコンビニの店員さんに「おつかれさまです」とおかしをあげた。

 すごいね!みんな、自分がしてもらって嬉しくなったら、他の人にも優しくしているんだね!
 これが「恩送り」になりますね。

優しいコトバ、感謝のコトバ、言葉の連鎖

「ありがとう!」、この言葉もとてもいいですね。
「優しい言葉を遣う」「感謝の言葉を言う」
 なぜ、優しい言葉や感謝の言葉を言うことが「恩送り」になるのかな?

「優しい言葉や感謝の言葉をかけられた人は、嬉しくなって、違う人にも同じことをしてあげたくなるはず」と思うから・・・。「これが『恩送り』をすること」だと思うからです。
すてきだね。具体的にどんな言葉を言うといいのかな?

「『ふわふわ言葉』って知っていますか?」
「ふわふわ言葉」って何ですか?
「『ふわふわ言葉』って、小学校の道徳の時間に習ったんです。あいさつとか、褒め言葉とか、感謝の言葉とか、ありがとうとか。柔らかくて、優しくて、嬉しくなる言葉のことです」

 じゃあ、その逆の言葉があるとしたら、なんですか?
「『チクチク言葉』です。悪口とか、嫌な気持ちになる言葉です。」

 確かに、自分のロから「ふわふわ言葉」が出ると、自分も相手もいい気持ちになるけれど、「チクチク言葉」を使うと、相手だけではなくて自分まで嫌な気持ちになってしまうよね。

「生まれてきてくれてありがとう」
 こういう言葉を考えてくれた人もいました。
「ここまで育ててもらったので、ちゃんと生きてお返ししている」
そうですね、とても共感する言葉です。ご両親に対する言葉でしょうか・・・。
 そのご両親を生んで育ててくれた祖父母。さらにはその親、ご先祖。いのちの繋がりを考えると、自分たちが生きていること自体が、「恩送り」になっているんですね。

「恩送り」に溢れた人生を

 ここまで、「恩送り」の体験について考えてみましたが、初めてのことで、なかなか思いつかなかった人もいるかもしれません。
 でも、たとえばこうしてみてください。「恩送りの眼鏡」があり、それをかけて世の中を見渡してみると、「恩送り」ということがたくさん溢れていることに気付くと思います。

 あなたがすることは、まわりまわって自分にかえってきます。
 是非みなさんが考えた「恩送り」を実践してください。 あいさつされたら、他の人にもあいさつする。
 人に優しくする。
 誰かのためになることをする。
 すると「恩送り」の行動が自然にできるようになります。
 やがて、みんな一人ひとりが繋がり合って生きていることを、感じられるでしよう。

 「恩送り」が日常に溢れていることに気付かせてくれたのは、ハグさんでした。
 一体、ハグさんが始めた<お互いさまチケット>とはどんなもの なのか。その一部始終を紹介します。
     Noriko

著者 NPO法人チームふくしま

「For you For next」の理念の基、「防災」と「次世代」の2つを柱に活動を展開。東日本大震災から生まれた復興支援事業「福島ひまわり里親プロジェクト」と「ひまわり防災検定」では、防災教育と福祉雇用、観光促進、地域のつながりの強化に貢献。次世代に向けては「お互いさまチケット」の普及や「コミュニティフリッジひまわり」の運営を通じて、お互いさまで溢れた地域社会の実現を目指している。
<主な活動>
■ 福島ひまわり里親プロジェクト
■ ひまわり防災検定 
■ お互いさまの街ふくしま
■ 無人福祉型お互いさま倉庫・コミュニティフリッジひまわり

文 Noriko

東北大学教育学研究科前期課程修了。NPO法人チームふくしま お互いさまの街プロジェクトリーダー。モスバーガー福島エリア店長会議「お互いさまの街づくり」講師。JICA海外協力隊としてマレーシアでボランティア活動後、福島に住み、マレーシア人と福島の方から受けた恩を送るため、「恩送り」活動を開始。高校教諭。宮城県支援学校勤務。山形県東根市出身。

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目次

序章 恩送りの街ふくしま

モスバーガーも始めた「お互いさまチケット」

第1章 同情の街ふくしま

人々の人生を揺るがした東日本大震災
一杯の豚汁〜生きている人が味わえる感謝の味〜
「世界一同情に溢れた街」を「世界一感謝に溢れた街」に

第2章 乗り越える街ふくしま

できる人が、できるときに、できることを
「福島ひまわり里親プロジェクト」、スタート!
「ひとつぶ」のひまわりの種が生み出す可能性
「福島ひまわり里親プロジェクト」で広がる絆
ピンチを救ってくれた里親のみなさん
「福島ひまわり里親プロジェクト」の多様な取り組み
「ひまわり防災検定」で次世代のいのちも大切に

第3章 お互いさまの街ふくしま

每日子ども食堂を開くには?
あなたはきっとひとりじゃないよ
「お互いさまチケット」、始まる
「世界一同情に溢れた街」が「世界一感謝に溢れた街」に!
カフェの冷蔵庫が「みんなの食糧庫」に!?
「お互いさまの街ふくしま」の合い言葉
この食糧を届けたい人がいる!
本当に必要なものがあることが生きる希望に
いつか誰かの役に立ちたい〜「食」から「職」への橋渡し〜
「お互いさまアート」〜自分の「得意」で笑顔は増やせる〜
「困ったときはお互いさま」の子ども食堂のネットワーク
福島市 二大ペイ・フォワード・カフェ
「お互いさまの街ふくしま」のこれまでの流れ

第4章 輪が広がる街ふくしま

「お互いさまチケット」 3店舗目! HAPPY HAPPY CURRY
「ペイ・フォワードって何?」に答えるためには?
「らしさ」を引き出すために聞いたお客さまの声
まさかここにも? 3力所目のチケット設置場所とは?
「お互いさまチケット」、始めてみようよ
SNSで爆発的に認知され始めた!
「お互いさまチケット」に共鳴 子ども食堂「んだよねえ」
子ども食堂で使える「お互いさまチケット」
BLTカフェの相棒 まちなか夢工房
ルワンダに届け、福島の愛
看板商品が「お互いさまチケット」で食べられる!
嬉しいことが盛りだくさんの「お互いさまチケット」
スタッフとお客さまに仕組みを理解してもらうことが肝心!
「お互いさまチケット」がなくならないとき・なくなるとき
スタッフの働く意欲を高める「お互いさまチケット」
コラム 追悼 突然の訃報と最大の恩送り

第5章 繋がる街ふくしま

「ギブアンドギブ」を実践した村
人の生き様は誰かの生きる希望になる

第6章 深まる街ふくしま

「たらいの水」で「人間貢献・社会貢献」
「腹落ち感Jを深めるロ-ルプレイング
スタッフとしての思いやりが個人のこころの豊かさに
感謝される仕事とは
自分の内側に宿る「ホスピタリティ感性」

第7章 ホスピタリティの街ふくしま

BLTカフェ「ホスピタリティ感性」体験談
みんなの食糧庫「ホスピタリティ感性」体験談
農家ピザくまのグラッチェ「ホスピタリティ感性」体験談
HAPPY HAPPY CURRY「ホスピタリティ感性」体験談
いいことしかない「お互いさまチケット」導入
「ホスピタリティ感性」を「ホスピタリティ行動」に移すには

第8章 若者の感性に「発掘」される街ふくしま

創立百周年の小学校の生徒が伝承する恩送り
長野県の女子高生が「恩送り」に出逢う
「お互いさまの街ふくしま」が「贈与論」の研究対象に
「お互いさまの街ふくしま」を拡散するインターネットの力
宮城県で若者が引き継いだお互いさまスポット
世界中が「お互いさまの街」に
コラム 「ふくしま」から、「いしかわ」への恩送り

あとがきにかえて
おわりに
♦参考文献
「お互いさまの街ふくしま」卷末付録

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