これからの医療 5つの「患者力」が、あなたと医療を守る!

病院にすべてを頼ってはいけない!ウイズコロナの時代だからこそ、医療との付き合い方を学んで、納得した人生を送りませんか!

著者 永井 弥生
ジャンル 実用・趣味
シリーズ 健康・美容
出版年月日 2021/05/28
ISBN 9784341087906
判型・ページ数 4-6・212ページ
定価 本体1,300円+税

まえがき—医療者・患者双方が医療を支えていく時代

 新型コロナが世の中を騒がせ始めた2020年2月、まだ全容のわからないウイルスの対策で、病院や保健所の体制は大きく揺らぎ出しました。
 患者さんにとっても、発熱があると診てもらえない、検査ができない、入院できない、さらに社会では、初めての緊急事態宣言、経済はどうなっていくのか、言い知れぬ不安が広がりました。病気の不安のみならず、感染者への差別、中傷といった社会的な問題も多々生じました。

 時を経て、対策も進み、新型コロナの対応の道筋はできたと思ったのもつかの間、感染流行の第3波第4波は、医療の体制を大きく揺るがしました。再開された経済活動も再度の制限で多くの人々が苦境に陥りました。
 大都市では公立病院を中心に新型コロナ専門病院がつくられたものの、ベッドや対応する医療者の不足、これまでの日常とは同じにはいかない新しい状況に立たされました。
 新型コロナを機に医療が抱える問題が多々噴出し、大きな転換期を迎えたと言えます。

 一時、新型コロナ対応で経営困難に陥った病院もありますが、回復するところは回復し、患者さんが減少したままのところもあります。診療科にもよりますが、大きな流れとしては、受診する患者さんは減少している傾向です。
 これは、新型コロナ以外の感染症などの病気が減っていることと、患者さん側の意識の問題、 すなわち、なるベく病院に行かないようにしよう、という気持ちによるところもあるでしょう。
 これからの医療をめぐる変化は、新型コロナの影響だけではありません。
 高齢化社会がますます進む中、平均寿命は上がっていきます。しかし、健康寿命を延ばしたい、そのために何をすべきか、一人ひとりが考えるべき時代となっているのです。

 新型コロナの時代、医療にはたくさんの感謝の声もいただきました。医療者が一番、力をいただく声です。
 医療者は患者さんのために力を尽くす、声に耳を傾ける、もちろん大切なこととわかっています。しかし、どうにもならない事態が起こりうることを身をもって知った時期でもあります。
 医療体制は進化しましたが、本当に充分なのかどうか、事態が起こってみないとわからないこともたくさんあります。
 患者さんと医療者のトラブルと言えば、医療事故、医療紛争があります。
 そこまで至らなくても、小さなトラブル、不満、不安、それを言えない、といった対応の問題は日常多々起こっているでしよう。
 私は2014年に、群馬大学病院で問題となった医療事故を指摘し、その対応を行ってきました。なぜ、多くの問題が発覚しなかったのか。患者さんがきちんと言いたいことを伝えられる医療でなかったことは大きな問題でした。
 きちんと言いたいことを伝えられるように、医療者は聴く姿勢を持つ必要があります。
 とは言っても、患者さんからは、なんでも伝えればよいというものではないでしよう。
 本当に懸命な医療者が、患者とのやり取りの中で嫌な思いをし、現場を離れていくこともあるのです。どうにもならない状況もあるのです。

 これからは、 医療者・患者双方が医療を支えていく時代です
 新型コロナの時代は、自分自身のことを見つめ直す機会。
 多くの変化、新たな気づきがあった方も多いでしよう
 予期せぬ死がやってくるかもしれない。
 どんなふうに死にたいですか?
 どんなふうに生きたいですか?

 医療には関わりたくないと思っても、関わってしまう状況は起こります。
 医療は、あなたが生きる上で活用していただく大事な限られたリソース(資源)です。
 私がお伝えしたいのは、こんな患者さんに出会うとうれしい、という医療者の想いでもあります。
 自分を守り、医療を守る。それが、これからの「患者力」です。
 医療も厳しい世界になると、淘汰されていきます。患者さんが選ぶのです。
 これからの新しい医療との接し方、そのための「患者力」とは、これからの時代に必要な、 あなたの人生を充実させる力でもあります。

2021年5月吉日

   永井弥生


<著者プロフィール>

永井弥生 (ながいやよい)

医学博士 /オフィス風の道代表。
群馬県出身。山形大学医学部卒業後、群馬大学病院等に皮膚科医師として勤務。 皮膚科准教授となり延べ20万人以上を治療。女性医師としては日本唯一の医療メディエーター協会シニアトレーナーとしても活動。

群馬大学病院勤務時の2014年、医療安全管理部長として腹腔鏡下肝切除術 における医療事故を指摘。70件を超える遺族対応、マスコミ対応などをこなし、 3年半にわたり院内の改革に取り組む。読売新聞の論点スペシャルや、報道記者の著書『大学病院の奈落』でもその軌跡が記されている。群馬大学病院では女性医師支援部門責任者、群馬大学男女共同参画推進室副室長にとして女性支援に関わる代表も務めた。

医療コンフリクトマネジメントの第一人者として、講演活動にも力を注ぎ、受講者は18,000名、セミナー受講者は800名を超える。コンフリクトに関するコラムは Yahoo!ニュースにも掲載され、医師の80%、30万人が登録する日本最大規模の医療サイト「m3.com」のコラム、またフジサンケイビジネスアイ「高論卓説」 コーナーも担当した。

現在、医療と社会をつなぐとともに「人生のリスク」への対応の必要性を感じ、「才フィス風の道」を設立。「自分の人生に責任を持て」という理念のもと、ストレスで悩む人たちに自分軸を持った人生を送るための活動を指南している。
また、様々な業種の企業10社以上の嘱託産業医としても活動している。1年に 300冊の本を読む読書家でもある。

オフィス風の道 https://kazeno-michi.com/

まえがき— 医療者・患者双方が医療を支えていく時代

第1章 備える力
〜医療の状況を知って、日頃から準備しよう

どうにもならない状況は、いつでも来る!
新型コロナで起こった病院事情
病院には、できれば行かないほうがよいけれど
医療も供給とバランスでできている
地域医療の現実
備える力① 医療事情を知る
備える力② 医療の情報と必要なモノの準備
備える力③ 日常化する感染対策
備える力④ 日常の生活習慣の見直し
備える力⑤「口とのど」の重要性
「リスクに備える」ということ

第2章 客観視する力
〜医療を利用する、強くしなやかな自分を創ろう

出来事を外から見るのが「客観視」
医療事故における「客観視」
紛争時の対応にも必要な「客観視」
キーワードは「へえ、そぅなんだ」という視点
客観視する力①「晴報」を客観視する
客観視する力②「事実、解釈、感情」を区別する
客観視する力③「平時と有事」の違いがある
客観視する力④「医師の言うこと」もひとつの情報
客観視する力⑤「自分自身」を客観視する

第3章 対話する力
〜自分が得する伝え方・聴き方を磨こう

やっぱり、好かれる患者と嫌われる患者がいる!
「医師の時間」を奪わない対応はありがたい
「自分歴」のプレゼンテーションができるように
「傾聴」はお互いに
自分も医療も助ける賢い患者に
前医の治療は貴重な情報。全部説明できないなら紹介状をもらおう
「伝える」と「伝わる」は違う
メモする、検査データは持ち帰る。自分を大事にしているということ
見通しがわからないと後で不安になる

第4章 自己責任力
〜自分で選択して、覚悟を持とう

有事には、医療の限界を知った!
治療の選択には「自己責任」もある
医療の場で生じる“ズレ”とは
手術で伝えられること
有事には、平時の常識は通じない!
覚悟を持って医療者を信頼できますか?
「医療の質」と「対話」は、医療の両輪
「カルテ」は患者さんのもの
「医療事故調査制度」というもの
どうしても納得できなければ、戦う覚悟も
最後に決めるのは自分自身!

第5章 生きる力・死ぬ力
〜医療は、あなたが生きるお手伝いをするだけ

健康の定義は「復元力」へ
生き方を映した「死」の思い出
どんな形でも終わりが来る
「無念の死」をあらためて思う
人生の最期にもコンフリクト
「命の選択」を考えることも
死ぬときに後悔する3つのこと
「こんなふうに死にたい」と言える人生

第6章 これからの医療
〜オンライン診療、デジタルヘルス、医療を上手に利用する

これからはオンライン診療!?
「誤診」とは、診断が違うということ?
オンライン診療のメリット・デメリット〜医療者側
オンライン診療のメリット・デメリット〜患者側
オンライン診療の有効活用のために
医療が変わる〜デジタルヘルス
医療も生活も仕事も変わっていく

あとがき

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