2025年のパラダイムシフト 井深大の箴言

21世紀日本の盛衰は“時のリ-ダ-”で決まる!

40年周期で日本が直面する大転換の時・・・日本文化の特質「人の心至上主義」で蘇る!

著者 豊島 文雄
ジャンル ビジネス
シリーズ 自己啓発(ビジネス)
出版年月日 2020/12/11
ISBN 9784341087784
判型・ページ数 4-6・268ページ
定価 本体1,400円+税

はじめに

 2020年に入り、新型ウイルスのコロナウイルスの感染爆発が全世界を覆い、世界中の人々に心的および経済的に重大な打撃を与えている。この状況は、1929年に始まった世界恐慌以上となるのではと言われている。
 この21世紀におけるパンデミック、新型コロナウイルス流行のその後について、政治や社会、経済の仕組みを大きく変えるパラダイムシフトがなされると、世界的に著名な経済学者、政治学者、歴史学者などが一致した見解を発信している。

 ソニーの創業者井深大による、「1865年に始まり2025年までの間、40年周期の日本社会の大転換・パラダイムシフト論」を筆者に教えてくれたのは、筆者が仕えた鹿井信雄元副社長だった。氏はAV製品7年周期説に基づく商品戦略をソニー内部に定着させた功労者でもあった。その井深のパラダイムシフト論を年代順に要約すると次のとおりとなる。

1、 1865年(155年前)。鎖国主義を捨てて開国宣言をした年であり、明治維新を経て日本が世界の文明国へのスター卜をきった年

2、1905年(115年前)、日露戦争に勝利し、実質的に世界一流国の仲間入りの途が開かれた大転換の年。

3、1945年(75年前)、第2次世界大戦の敗戦により、国体の大転換によるショックを日本国民に与えた年。

4、1985年(35年前)物質的、経済的に未曾有の繁栄により、経済大国として世界的にも稀有な発展をした年。

5、2025年(5年後)は、時のリーダーによる大転換で21世紀の日本の未来が定まる年。 

 井深は1990年から晩年にかけて、自分が亡きあと、21世紀のバラダィムシフトにあたり、時のリーダーがどのように国と国民を導けば21世紀も日本が真に幸福になれるかを考察し、それをラィフワークとした。そして、わが国の産学のリーダーたちに講演、21世紀を生きていない私の遺言であると伝えていた。
 時のリーダー次第で、2025年の転換の年次第で、21世紀日本が真に豊かな国となるか悲惨な状況になるかが始まる大転換・パラダイムシフトがなされると予測していた。
 この2025年という年は、前安倍政権がプライマリーバランスが取れ国家財政が安定へと転換する年と定めていた。しかしながら、2020年の新型コロナウイルス対策として莫大な国債の発行を決定してその策は吹き飛んだ。

 ここから、井深が言うところの、21世紀日本のパラダイムシフトにおいて、時のリーダーが導くべき内容について触れてみよう。
 「高齢化が先進国で顕著となる21世紀においては、成長が期待される健康面や医療面のサービス産業の分野に日本の得意とするエレクトロニクス技術を応用した新天地を見い出す。
 と共に、日本文化の特質である気配り精神、即ち『人の心至上主義』を併せ持つサービ ス産業にバラダイムシフトをなせば、戦後の40年間と同様の国際協調に基づく豊かな日本が蘇る」
 これは、井深自身が遺言であるといって託した言葉であった。このことは井深のバラダイムシフト論を聞いた一部の人たちが後に出版した本にも記されている。

(中略)

 こうした経験が、運営がうまくいっていない社内事業本部の立て直しに送り込まれる副社長クラスの、いわゆる“懐刀”的、特殊業務に30代後半から携わった時に役立った。
 経営がうまくいかなくなる原因は、大抵は幹部同士がなれ合いになってシンジケートを組む。そこには影のボスが必ずいる。影のボスは手なずけた秘書を、新任の本部長が来た時の秘書として付ける。そうすれば、誰が面会に来て何を言ったかを逐次、影のボスが把握して、直訴するような異端的人物を、新任本部長と面会させないようにもできる。この罠に取り込まれた新任本部長は、再建に失敗して立ち去ることとなる。
 だから、影のボスに対抗できる“懐刀”を携えて乗り込めば、着任する前に、運営がうまくいっていない本部の経理資料等の公的資料や、影のボスのィンフォーマル組織の存在などを予め調べ上げさせて、その後に着任する。
 さすれば、着任時に、“あてがい秘書”を断って、“無垢の秘書”を選び、馴れ合い幹部は着任と同時に一掃される。新任本部長の毎月の幹部経営会議等での経営方針は、部長、 課長といった中間管理職により取捨選択されて末端に一部だけしか伝えられない公式ルー卜だけでなく、会議を傍聴する、“懐刀”がミニコミ誌に編集して組織の末端にまで毎月直接配布する。
 乗り込んだ経営幹部のマネジメントノウハウも、その“懐刀”が講師となって社内セミナーを開催する。こうして新任本部長の人となりや方針や経営ノウハウを、地方や海外の工場の末端の人も知ることとなり、上から末端まで、統一された経営方針の徹底によって不採算事業を立て直すことができる。

 このようして筆者は、井深から直接薫陶を受けた副社長クラスの幹部が定年でリタイアした後も、後任の幹部の“懐刀”としてその志を引き継いだ。この間、オーディオ事業本部、ビデオ事業本部、テレビ事業本部、半導体事業本部、生産技術本部、コアテクノロジー事業本部等を渡り歩き、延べ6000人を教育し部長級専門職の主席にも任命された。普通のサラリーマン生活とは、かけ離れた仕事に携わった。

                                         -(文中敬称を略します)


◆著者略歴

豊島 文雄(テシマ フミオ)

1973年 早稲田大学理工学研究科修士課程卒、同年ソニー(株)入社。
ウオークマン発売6年前のテープレコーダ部隊に配属。その後、カメラ&ビデオ事業部。
1986年 企画業務室長。
社内の不採算事業本部の再建を指揮するK元副社長の側近となり、オーディオやビデオやテレビ各事業本部を移動しながら業績回復のキャンペーンに貢献。その後N元副社長の側近となりテレビや半導体やデバイスの各事業本部を移動しながら業績回復キャンペーンに貢献。「ソニーの遺伝子」勝美明著1998年ダイヤモンド社刊に平面ブラウン管(ベガ)のキックオフの際の登場人物として紹介される。
1998年 主席(マネジメント研究分野の部長級専門職、延べ6000人を教育)
2002年 ソニー中村研究所(株)設立時取締役
2006年 ソニー中村研究所(株)解散
2007年 (株)1・10・100経営 代表

第1章 井深大の予見     
─ 40年周期パラダイムシフト論 ─

近代日本を襲った40年周期のパラダイムシフト
21世紀・2025年のパラダイムシフト
パラダイムシフトとリーダーの資質について
パンデミック後に、利他至上主義へのパラダイムシフトを予見
井深が1990年に伝え残した21世紀の日本が進むべき道

第2章 井深大の箴言     
─ 2025年のパラダイムシフト下で生きる人たちへ ─

◆大転換期のリーダーの持つべき気構え
第1条 末端の現場を見ながら、イノベーションのテーマを見出せ
第2条 究極の未来(北極星)に視点を置いて今を見る
第3条 研究開発の成否に直結するトップ自身による決意の表明
第4条 リーダーの一番の役割とは
第5条 縁の下の仕事をも評価する経営姿勢
第6条 本業に徹し、人のやらないことを苦労してやり抜くことを守るべき
第7条 リーダーたる者は気に入らない人を遠ざけるな
第8条 組織に縛られることなく人を中心に仕事を進める
第9条 使命感の自覚の上に立った生き方
第10条 良いものをつくれば自動的に売れると言うのはありえない
第11条 新技術は売れる値段で出せなければ社会とつながらない
第12条 大勢に流されずはっきりした意図をもって動く企業たれ
第13条 量から質への転換
第14条 いかなる変化にも対処しうる実力をつける努力を
第15条 日本は難しいものの生みの苦しみを通してでなければ生き残れない
第16条 技術開発は一連のチェーン全体の協力なしには成果は望めない
第17条 日本企業の歩むべき道
第18条 常識をくつがえすことから始まるモノづくり
第19条 命令ではなく目標を明示しチャレンジをうながすマネジメント
第20条 失敗は成功の母
第21条 感性を磨くことは経営トップに課せられた宿命
第22条 その場その場で最善と思うことをやり変化し対応していくこと
第23条 その寿命が終わるまで最良の効果を維持するものを提供せよ
第24条 21世紀は、製品やサービスに気配りを込めた日本独自の時代に
第25条 本人が自発的に興味を示すように仕向けなければ教育は身に付かない

◆2025年の大転換期に働く人の心構え
第26条 自分の持ち味を生かしてこそ成長できる
第27条 仕事は自らが勝ち取っていくもの
第28条 〈大企業〉という美酒にあぐらをかくな!
第29条 能力主義の本質
第30条 古の個々の人々たちが築き上げてきた豊かで便利な文化を、
後世につなぐ生き方こそが人間としての至高の生き方である

第3章 人間・井深大     
─ 「心」「技」「体」を育くんだ恩人たち ─

幼少期に井深の「心」を育んでくれた母と祖父
神戸時代の鍛錬が井深に頑健な「体」をもたらした
アマチュア無線にはまってその「技」を習得
祖父の死が、函館太刀川家との交流を導く
エレクトロニクス分野へ井深を導いた恩師
流行作家・野村胡堂が井深を支援
井深を経営者に育てあげた植村泰二

第4章 技術魂・井深大     
─ 究極の将来・北極星に視点を置いて今を見る ─

終戦日のわずか半月後9月に東京通信研究所を開業
個人企業を法人成りして東京通信工業(株)を登記
永井特許に守られたテープコーダーの開発で経営の基礎をつくる
米国でポケッタブルラジオとステレオ音響の2つの〝北極星〟を見つける
日本にステレオ音響の素晴らしい〝北極星〟を持ち込んで元祖となる
トランジスタの特許権購入時の外貨使用をめぐる通産省との争い
半導体へのパラダイムシフトの先頭に立った日本の電子立国
電子立国を日本にもたらした「1・10・100の法則」
日本初、世界初を連発する新製品開発手法FCAPS

第5章 生涯を通して本業以外で力を入れた社会貢献

小学校に理科教育振興資金の供与を始める(51歳)
1969年(昭和44)幼児開発協会を設立(61歳)
社長業の傍らで心身障碍者施設を立ち上げる
ウオークマンの原型を発案(70歳)
増税なき財政再建を目指す土光臨調を応援(74歳)
JRスイカ誕生の仲介(80歳
東洋医学・ソニー脈診研究所所長となる(81歳)

第6章 エピローグ

再婚により安息の家庭を得る
大事な人に先立たれる
井深の人生哲学
井深の死

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